知らないし君のオナニー

君が入籍すると聞いて最初に思いだしたことが
乾電池オナニーっていう自分の暗黒史
尻の穴に乾電池をつっこんでマスターベーションすれば
微電流で直腸が刺激されて気持ちがいいから
試してみようということになったわけ

尻の穴から乾電池が抜けなくなったら困るので
念のために二人で一緒にオナニーしよう
そう決めた一九九九年の夏は
ノストラダムスが予言した世界の終わりで
炎天に曝された校庭には誰ひとりいない

時間が止まったような放課後の教室に
ムラムラと蝉の鳴き声だけが響きわたる
僕にはなんのためにちんこがついているのだろうか
小便をするためだけじゃないはずだ
童貞のまま死ぬのは嫌だ、だけど死ぬのかもしれない
それならせめて尻の穴に乾電池をつっこんで気持ちよく死のうよ

僕たちは白いスーツを着て大切なあの子に薔薇の花束を贈る夢を見た
熱海の秘法館に行った後で、浴衣姿のあの子と熱燗をなめる未来を思い描いた
結婚したら子供は男の子と女の子をひとりずつと勝手な将来設計をした
産まれてくる赤ちゃんの名前についてどきどきしながら考えた
生協で買い物をした後で、マイバッグから葱だけのぞかせながら
子供と一緒に夕暮れの街から家へと帰る生活を想像した
子供が自立してそれなりに歳を重ねて
あの子がおばあちゃんになって
しかもお洒落に気を使わないただの守銭奴になってしまって
擦り切れるまで同じパンツをはいていたとしても
僕はそのパンツを丁寧に洗ってあげよう
そのくらいに人のことを好きになれたお馬鹿さんだったね

そして放課後の真っ暗な体育館倉庫で
尻の穴に乾電池をつっこみながら妄想全開でオナニーした
僕の妄想はフルパワーで爆発しそうだった
パナソニックのアルカリ電池からは電流が駆け巡る
電流はどういう複雑な流れで肛門から神経をつたわったのか
突然僕たちの亀頭がぴかぴか光りだした!奇跡だ!

僕たちは最初恥ずかしげに、それからゲラゲラ大笑いした
未来は暗くない世界は滅びはしない僕たちはすぐには死なない
決して輝かしくはないむしろ薄汚い光がともす未来を信じて
とおくまで歩いていけると思いながらイった
それが君と僕との青春ちゃんだ

結婚式をあげない君にせめてこの詩をおくろう(嬉しくないと思うけど)
君のオナニーは見えなかったことにしておくから安心してくれ
今でも輝かしい未来はかけらも見えないけれど
亀頭の光が足元を照らしてくれればそれで十分だよな
時の流れに身をまかせていたらこんなところに流れついたよね、お互い

本当におめでとう、おめでとう!おめでとう!おめでとう!おめでとう!
おめでとう!おめでとう!おめでとう!おめでとう!おめでとう!

※ところで乾電池を嫁さんにつっこむことだけはやめとけよこれマジで
OZ
2011年01月26日(水) 21時45分50秒 公開
■この作品の著作権はOZさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
一週間ルールを無視しました。
今、どうしても投稿したかった。
ということで、自分でも事のなりゆきに
意外でびっくりですが、さよオナラ。

この作品の感想をお寄せください。
No.4  OZ  評価:--点  ■2011-01-30 17:55  ID:4MvGQJq3VCA
PASS 編集 削除
■としお様

ご感想ありがとうございます。

>何と言うか文に込められたリビドーの残滓(?)

すごく嬉しいお言葉です。
ところで私には初オナニーの記憶がありません。
罪悪感を持っていなかったからかもしれません。
今でもオナニーは好きです。

ご感想ありがとうございました!

■楠山様

いつもご感想をありがとうございます。

生命力を感じたとのこと、ありがたいです。
楠山さんにほめていただけると本当に嬉しいんです。
別にホモではないので安心してくださいね。

ご感想ありがとうございました!

■ゆうすけ様

ご感想ありがとうございます。

>これが詩なのかも正直分かりませんが、
心を震わせる力を感じました。

これが詩かどうかは私にも分かりません。
口語自由詩の確立者と言うべき萩原朔太郎は
すべての良い抒情詩には理屈や言葉で説明することの出来ない
一種の美感が伴っていると書いています。
朔太郎はこの言葉で説明できない美感を「詩のにおい」と呼び、
においの希薄な詩は価値がすくないと捉えています。

ずぶの素人が萩原朔太郎の言葉を持ち出すのも滑稽ですが、
言葉で説明できない「におい」を表現することができれば
いかなる形態であってもそれは詩なのではないでしょうか。
私の場合は一応そういう「におい」を表現することを
理想として詩の投稿をしています。(とてもおこがましいですが)

一方でこんなことを書くと恐れ多いのですが、
私にとって相田みつをの詩は、詩というよりは
ただのメッセージのような気がします。
詩の定義というのは結局は個人が決めるべき
曖昧なものなのかもしれません。

としお様、楠山様、ゆうすけ様、

私のルール違反に加えこんなにもお下劣な作品に対して
あたたかいご感想をありがとうございました!

No.3  ゆうすけ  評価:40点  ■2011-01-29 14:06  ID:ySrKhKJdka.
PASS 編集 削除
拝読させていただきました。

突き抜けるようなシモネタ、もはや芸術の域であると感じました。
OZさんは、穏やかな心情を丁寧に書く方かと当初思っていましたが、内に秘めたる沸々と煮えたぎったパワーの持ち主なのですね。
これが詩なのかも正直分かりませんが、心を震わせる力を感じました。
No.2  楠山歳幸  評価:50点  ■2011-01-27 22:01  ID:sTN9Yl0gdCk
PASS 編集 削除

 拝読しました。

 すごい、素晴らしいの一言です。
 市井で見かける下ネタは(僕の記憶では)普通、客寄せみたいな印象があるみたいですが、この作品は生命力を感じました。
 乾電池に加え、
 >ムラムラと蝉の鳴き声だけが響きわたる
 この文章がとても良かったです。

 ルールを無視したとのことですが前作は削除しているみたいですので、と言うより、そうしたく思いましたので、点数をつけさせていただきました。

 拙い感想、失礼しました。
 
No.1  としお  評価:0点  ■2011-01-27 00:13  ID:kWriX7DAQx.
PASS 編集 削除
 OZさまへ
 違反と自己申告との事なので、一応ペナルティとして点数はつけません。
 
 ですが……
 素晴らしく、良いです!
 つい笑ってしまい、しかし後から湧き上がって来るその、何と言うか文に込められたリビドーの残滓(?)に最衝撃を受け、でもやっぱり笑いました。いけないことではありますが、OZ様が電撃的に投稿した理由が少し、分かる気が致します。

 追伸
 恥ずかしながら私、小学○年の初オナ○ーの事を思い出した事も、追記させていただきます。(なにゆうてんねん)
 それでは。
総レス数 4  合計 90

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除