何故の文
自分の創作物を公に晒すという行為について
何故!
とダラダラ文を書き、行を重ねていくうち、収拾がつかない乱文に嫌気が差し、消去を押し続けて下から順に文節を次々に消していくと、結局最後に残った文字が、
何故!
自己顕示の理由は生き残っていくために命の根源から刻まれた、レコードの溝のようなもので、どれだけ自分がつまらない物しか持たない人間であるかという事に薄々感づいていたとしても、あるいはもしかすると、ある狭い領域でもてはやされるような偉人であると見られる可能性も無きにしも非ずと曖昧に勘違いしているわけじゃない事に気づかない振りで、私は、
「お母さん見て、お母さん見て、ほら、ぼく描いたよ、お母さん」
と渾身の駄作とまでは思っていない作品を頭上に掲げ踊りながら何かを待っている。
それはイイネではなく、もちろん「何かそれ、けっ」では到底あり得ない。何を欲しているのかは、幼児の〈ぼく〉を観察しているとよく分かる。〈お母さん〉はこう言う。
「〜今度は〜」
彼女はキッチンの洗い物が残っているから、次のアートを描かせて時間をかせごうと目論んでいる場合もあるだろうが、現実的理由がどうあろうと、何より「ぼく」が楽しそうにしていることの継続を望むのだ。
「うん!今度は〜ね」
端からそのつもりに「お母さん」の後押しを得た。
私はずっと幸せ時間を続けていたいだけなのだ。
そして大人になった今でもこれからも周りの人々に偉そうにお伺いをたてていく。
「続けていい?」
そんな事を書いては、また
消去していく
游月 昭
2022年03月11日(金) 22時13分49秒 公開
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No.4  游月 昭  評価:--点  ■2022-05-12 03:00  ID:Xq6hx6QxDwA
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霜月さんコメントありがとうございます。
何故、からいろんな文が生まれますが、詩を書き始めた二年ほどは問いの炎の焼け跡みたいに詩が出来上がっていきました。その後は慣性の法則的詩という感じなのではないかなあと感じております。
霜月さんや他の方は、何故?詩を書くのでしょう。考えてみると、興味深い詩が書けるのかもしれません。
No.3  霜月 八重  評価:50点  ■2022-05-05 11:25  ID:xYUBMKcZovs
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こんにちは。
レコードの溝のようなって表現、いいなぁと思いました。
承認欲求は何年経ってもあるもので、あってもいいものだなぁと思います。
承認欲求を表に出すと、態度に出すとみっともないと思われがちなネット世界を見てきましたが……、わかるようなわからないような、やっぱり分かるような。
素直で素朴な空気感で綴られるこの詩が可愛くて好きです。
No.2  游月 昭  評価:--点  ■2022-05-04 08:09  ID:Xq6hx6QxDwA
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虎竜さんはじめまして。コメントありがとうございます!
ひさびさに寄ってみました。
No.1  虎竜  評価:30点  ■2022-04-19 14:43  ID:33E/nA6Ip9Y
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初めまして。虎竜と申します。
ああ〜わかるわ〜と、読みながら呟いていました。承認欲求と自己表現。
その根底にある幼いままの心。僕を見て。僕に気づいて。
そしてナイフを持って立ってた。あの頃身に着けたナイフが今も言葉になって時々顔を出します。
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