ツツジ |
外は暖かいけれど、部屋の中にはまだ、 春が零した花冷えの破片が散らばっている。 痛みを避けたその足で、ゴミ箱を倒してしまった時、 中からはピンク色のツツジが溢れ出して、 隠して置いた感傷が、4月末の風に攫われていった。 眠気の中に生まれた容易い信念が、 夢に立ち現れて、 手を引けと私を脅す。道を塞いで手を掴む。 私は、自分への哀れな期待を捨て切れないまま、 昼下がりを駆けていく。 明るい光が、 まだその強さを増して私を照らす。 私たちをくまなく照らす。 私は、隠れることばかりの日々を手放せなかった。 そうして午後に微睡んでいる。 |
ナカトノ マイ
2020年04月30日(木) 11時18分47秒 公開 ■この作品の著作権はナカトノ マイさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 ナカトノ マイ 評価:0点 ■2020-05-12 23:08 ID:FLHCVOVt6M. | |||||
鹿敗北者さんへ 「観念を撫でる」とは、これまた難しいですね……。言葉を並べるとき、いつも偶然や勢いに頼るのですが、その偶然性を如何にしてコントロールできるかが鍵かもしれません。アドバイスをありがとうございます。少しずつ経験を積んで頑張ります。 |
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No.1 鹿敗北者 評価:50点 ■2020-05-02 19:38 ID:vX5.P5MQ/Hw | |||||
>>隠して置いた感傷が、4月末の風に攫われていった。 とても良いと思います。 意匠を凝らずに観念を撫でていくような、そうですね…概念や観念をこの強度でどこまで撫でれるかを試してみるといいかもしれませんね。 |
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総レス数 2 合計 50点 |
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