ただ、それだけ。


 ̄ ̄前、先輩に教えて貰ってん


その日は2人で、いつも見上げている。
あるいは、ガラスに映っている。
京都タワーを眺めていた。

控えめな光の川が一望できる展望台は
6年通っているに関わらず、私の知らない場所だった。


 ̄ ̄光が少ないのを見ると、京都ってホワイト企業が多いんやなぁと思うよな


静かな廊下に、私の後ろ3歩ぐらいに立っている
彼の声だけが、冷えた空気に流されてくる。

ぼんやりとしたその言葉に
「景観のためじゃない?」
なんて、つまらない冗談を紡いでみた。


 ̄ ̄東京は、「賑わってないとダメやん」


なんて、適当な時間を過ごしながら。
よく話に出てくるその、
「先輩は、色々知ってるね」なんて、話を振る。


 ̄ ̄男二人見たないわって、笑ってたけどね


相変わらず変わらない距離感と、
隣でピッタリと身体をくっつけて、
静かに景色を眺める恋人たちを後目に、

私は、なんとも言えないその空間に、
京都タワーに寄り添う光を眺めながら


「綺麗な景色は、誰とみたって綺麗やよ」


……って、ただ、それだけ。




ヤエ
2019年09月25日(水) 21時27分30秒 公開
■この作品の著作権はヤエさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
彼は一瞬間をあけて

 ̄ ̄せやな

って、ただ、それだけ。

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No.3  阿印陀布  評価:30点  ■2019-10-12 03:33  ID:/Etv8TkbwnA
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せやな。
No.2  ヤエ  評価:0点  ■2019-09-29 20:22  ID:n/TBWkEwj6A
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虎竜さん
感想ありがとうございます。
なにかが映ったならば幸いです。
No.1  虎竜  評価:30点  ■2019-09-28 10:55  ID:Y5z8Yaj/4DM
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なにか…。壁紙の色と同じような情景がずっと続いてて、書いた御本人もその色で染まっていて、その色を後ろに飛行機雲のように残しながら歩き去っていく姿が胸に映りました。しばらくあとを引きそうな。
総レス数 3  合計 60

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