ドライフラワー
ドライフラワーが割れないように、君をそっと、抱きしめた。紙袋の乾いた音が、ただ耳元で擦れて、次第に青くなった薔薇の色が、透明になって溶けていった。君の言葉から水分を奪い取って、いつまでも額に入れて飾ることができたら、どんなに素敵か分かりますか。証拠を隠滅する前に、君のどこかを、その紙切れで、少しでいいから傷つけてみたい。
君の純情が、私の嫉妬で絆されていく瞬間に愛を感じるとか、壊れているとか、そんな刹那のきらめきに惑わされてはいけないとか、詩人の言葉が嘘みたいに朽ちていく。さよならも、友達だよとも言えないうちに、恐らく消えていく糸があって、それが私の肌にぎりぎりとめり込む。それを絆だと言うのなら、私は容赦なく引き千切り、断ち切り、何も無かったのだと笑い飛ばすしかない。今、隣でスマホをいじっている君は、多分、私の友達とは言えない。踏みしめる地面からどんな草花が生えていたって、誰とも繋がることができないなら、そこを場所とは、言いたくない。
ナカトノ マイ
2019年09月10日(火) 00時39分17秒 公開
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■作者からのメッセージ
先日、ドライフラワーを買いました。部屋に飾っています。

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No.2  ナカトノ マイ  評価:0点  ■2019-09-18 00:53  ID:ji4Hz4Vb/4o
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僅夜さんへ
私は、誰かに嫉妬したり誰かを特別視したりする分、
誰かから嫉妬されたり誰かから特別視されたいと願ってしまいます。
誰かを喜ばせるのも、誰かを傷つけるのも、自分でありたいと思ってしまいます。
「少しでいいから傷つけてみたい」というのは僅夜さんの言う通り、
誰かの思考を私の存在で束縛したいという、ある種の独占欲だと思います。
その言葉に着目してくださって嬉しいです。
メッセージをありがとうございました。
No.1  僅夜  評価:50点  ■2019-09-12 01:08  ID:Qd9WRudLP2w
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>その紙切れで、少しでいいから傷つけてみたい
束縛と葛藤、人間らしい感情の起伏、素敵な表現です、滾ります。
総レス数 2  合計 50

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