友愛
 古い水墨画に心奪われた僕と、墨をぶち撒ける君。何を思ったのか、糸を手繰り寄せると鋏でちょん切ってしまったが、そうすると僕らの共通点はなくなってしまった。若さゆえの衝動と、妙な仲間意識だけが僕らの源なのだと、前に座っている男の子が教えてくれた。うん。知ってたよ、そんなこと。多分、中学校に入って数か月したら、みんな知ることになる。そして1人残さず消されるよ。僕の言葉はいつだって、衝動から振り落とされたクッキーの破片みたいなものだ。

 古典的な言い回しに、小指を切って、そこには何も滲まなかったが、代わりに見つけた星座と、僕の日記と、タロットカード。当てにし過ぎた根拠のない自信と、先生。ミミズみたいな筆跡を追っていれば、いつか君に辿り着けるのだろうか。そう思ったけれど、画面の割れたスマートフォンには愛着が湧くらしいのに、一度傷ついた僕らの友情は、こんなにも早く捨ててしまいたかった。あと数日で、全て他人だもんね。……あのさ、これは皮肉なんだよ。ねえ。

 痛みはリアルタイムだ、過去じゃない。だから僕は君の痛みを永遠に分かってあげられないらしい。だからずっと、知らん振りをしてきたんだ。おはよう、と僕は誰もいないベッドに挨拶をしてみた。けれど君は、どうやらまだ眠っている、夜の片隅のようだった。

 パズルのピース、ぴったりはまって、あの子の素肌。一周回ってお休みを。また明日、と僕は電池の無い目覚まし時計に、ひと声かけてみたんだ。
ナカトノ マイ
2019年02月22日(金) 23時08分28秒 公開
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■作者からのメッセージ
たまには距離を置きたい時もあるよ、という詩です。

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