初霜
数日前からだ。
私はこの香りを知っている。
鼻をつん、とつくような、
それでいて、甘くて優しい無の香り。
直線に伸びる東雲が、真っさらな町を浸して広がっていく。
10日前を最後に、彼らは姿を見せなくなった。

あの時、確か雪虫は、
告白をするために、冬を必死に運んでいた。
目を離せばすぐに雲と混じってしまうから、
彼らの小さな生命力に、五感を研ぎ澄ませた。
何か感じるかな。
寒さが邪魔をして、静かなことしか分からないな。
分からないまま季節を越えると、そこにあったものは全て、
雪に覆われて見えなくなっていた。
そんなことが、ザラにある。

今朝、野原に霜が降りて、その上に1人の影があった。
足取りに合わせて、さくり、さくり、秋が死んでいく。
その影は、ゆっくりと朝霧の中を踊っていた。
お別れの挨拶をしに来たんだ。
今年も、もうそろそろですか。
早いとか、遅いとか、どうでもよくて、
私はただ、君を名残惜しく思うんだ。
ナカトノ マイ
2018年11月24日(土) 21時39分31秒 公開
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■作者からのメッセージ
朝っていいですよね。好きです。冷え込んできましたね。皆さんもお体に気をつけてお過ごしください。

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