Childhood
お風呂のぬるま湯の中で見つけた、腕にある昔の傷。
耳をすますとそこから幼いただいまが聞こえてきて、
最後に17時の音楽が鳴った。
少し暗くて赤い空に響いた歌は、当時の、友達の高い声と共鳴する。
……。
秒針の音が聞こえると思ったら、耳元で腕時計が回っていた。
また明日ね、を繰り返して疲れたのか、
机に突っ伏して寝てしまっていたようだ。
あれ、
自分ってこんなに大きかったっけ。
それに気づいた途端、傷口は大きな溝になって、
それまで私が辿ってきた映像が、底からどぷどぷと湧き出し始めた。
溢れて溢れて止まらない。
走馬灯の中を落ちていくような感覚だった。

そうか。
きっと私、この十数年を、「あ」って言う間に通り過ぎたんだ。
24時間の部屋が狭くなっていく度に
要らないものを次々と捨ててきたんだ。
それだから私の記憶はまるで、
編み込んだ時間をばちんと切って
つい5秒前から無理やり縫い付けたように
ちぐはぐしているんだね。

小さい頃は、
知識は勝手に身につくと思っていたし、
恋人は何となくできるものだと勘違いしていた。
歳をとれば大人になれる気がしていた。
これから先も、そんな訳もない期待と一緒に大きくなっていくよ。
ナカトノ マイ
2018年05月05日(土) 22時46分02秒 公開
■この作品の著作権はナカトノ マイさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最近は子供っぽいことばかりを考えていました。それを詩にしました。

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No.2  ナカトノ マイ  評価:--点  ■2018-05-08 20:34  ID:fLt.6PjGqOo
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春さんさんへ
心地良いと感じていただけてとても嬉しいです。
確かに、詩においても山場を作ることは大切ですね。
より丁寧に構成を練るように心がけます。
ありがとうございました。
No.1  春さん  評価:50点  ■2018-05-07 06:47  ID:IaJIiwK2bLw
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やっぱりナカトノさんの作品は読んでいて心地良いです。
語り口や構成が良いからかな?
だんだん盛り上がっていって,きっちり最後にピークが定められていて、読後になにかを残していきます。構成力ですね^^詩材もいいからかな。
総レス数 2  合計 50

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