昔むかしのおはなしよ |
昔むかし、ある村落に歩き疲れたひとりの旅人がいた 旅人はどこか今夜ひと晩泊めてくれる家はないかと探していると 一軒の茅葺き屋根の家にたどり着いた 「こんばんは、夜分にすみません 今夜ひと晩泊めてはもらえないでしょうか」 旅人の申し出に、家人は少々驚いたものの快く応じ 「随分お疲れのご様子で。汚いところですがゆっくりしていってください」 お風呂を沸かし、旅人が湯につかっている間に食事の支度をし ご馳走とまではいかないが、旅人に振舞った お酒もちょっぴり出したり 奥の座敷に蒲団を敷いてもらい、床につきながら いい家にめぐりあえた、いい人たちでよかった と夢見心地でいると、襖の奥から何やら話し声が 旅人が襖の隙間から物音立てないように耳をそばだてていると 「明日の朝はどうするかね?」 「皆殺しにするか、半殺しにするか」 見るとご主人がなにやらずっと包丁を研いでいる これは大変だと驚いた旅人は、急いで借りた浴衣を脱ぎ捨て 行李に荷物を適当に放り込んで 一目散にその家から逃げ去っていくのだった おしまい |
陽炎
2025年04月14日(月) 22時56分45秒 公開 ■この作品の著作権は陽炎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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