周回軌道

これまでの人生
一体どれだけの分岐点に立ってきただろう
どれだけの選択肢があったというのだろう


もしもあのとき 違う途を選択していたら
いまとは違う生き方ができていただろうか


     目の前に巨大な壁がありました
     その先へ進んでいくためには 
     どうしてもその壁を越えないといけません
     しかし 運動神経皆無で高所恐怖症のわたしには
     とてもその壁をよじ登ることは不可能です
     果てさて 困ってしまいました
     近くにはしごのようなものはないかしら
     もう少し わたしでも登れるくらい低くなっているところはないかしら
     ウロウロ ウロウロ 右往左往と立ち往生ばかり
     そのうちに抜けられそうな場所を見つけ出します
     良かった助かった
     高い壁をよじ登ることもしなくて済んで
     これで先へ進んで行くことができます
     できるはずです


     その巨大な壁をうまいこと回避できた気になって
     壁の向こうのその先へ
     進んで行けてるような気になって


     あるとき ふっと気づくのです
     眼前には 相変わらずあの巨大な壁が
     まるで嘲り笑うかのごとくに立ちはだかっていることに


     ずっと抜け道をみつけた気になっていたけれど
     うまく壁を越えられた気になっていたけれど
     それはただ そんな気になっていただけで
     実はずっと ただその巨大な壁の周辺を
     ぐるぐる ぐるぐる
     廻り歩いていただけだったということに




もしもあのとき 違う途を選択していたら
違う人生が待っていただろうか
いまよりもう少しマシなふうに生きられていただろうか


わたしは思う
たとえどんなに いまとは違う途を選択したとしたって
結局まわりまわって
いまいる同じ場所に辿り着いているじゃないかって
たとえばそう あの巨大な壁の周辺を
ただぐるぐるぐるぐる 廻り歩いてただけだったように


それにこうも思う
人生って いろんな選択肢の中から
自分で選んできたようにもみえるけれど
けどきっと そのときそのときで
それを選ぶより他に方法がなくって
選ばされ選ばされてきた結果
いまいるこの場所に辿り着いたんじゃないかって




どの道この道 所詮は周回軌道




そういうのをだから
つまるところたぶん
運命って呼ぶんじゃないかってさ




陽炎
2024年12月05日(木) 13時31分11秒 公開
■この作品の著作権は陽炎さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
最後までお読みいただき、ありがとうございます

どんな途を選んだとしても
結局は同じところに辿り着いてる
そんな気がします

この作品の感想をお寄せください。
No.2  陽炎  評価:0点  ■2024-12-14 18:33  ID:qUGSF4Qri.s
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☆えんがわさんへ☆

お読みいただき、ありがとうございます!
どんな途を選んだとしても
多分きっとおんなじ場所に辿り着いてるんだろうな
と思いまして

壁を越えない選択
その先へ進まない選択

えんがわさんの、歩いている(生きている)ことを楽しめれば
っていう考え方も素敵ですね
ご飯が美味しい
運命だけに、うんめぇ
なんちゃって(笑)
昭和のオヤジギャグみたいでスミマセン^⁠_⁠^

ありがとうございました
No.1  えんがわ  評価:30点  ■2024-12-13 12:11  ID:PyFRimgEhSs
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巨大な壁は人生のところどころで現れますが、無理によじ登る必要はないと思います。たいてい落下して怪我するようで。
かといって超えようとしなければ前に進むこともできず同じ軌道上をぐるぐる回っているってのもわかります。

でも、自分は前に進まなくても良いと思うんです。歩くこと自体を楽しめれば、目的や前進は必要ないと思うんです。

そう言う意味で良い意味で壁を超えることも後ろ向きに考えることも諦めた主人公に、自分は賛成します。それは寂しいけれど、健康的。

歩いてお腹が減ってご飯が美味しければいいんです。
総レス数 2  合計 30

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