屠場
決して陽のささぬ暗闇に包まれた屠場
それでも作業員は家畜を解体している
なぜなら彼らはぜんいん盲目だから
血に塗れた作業衣を着て
家畜の足を外し腕を外している
孤児の少年と少女
彼らは恋愛をしていた
彼らの愛に生殖器は必要なかった
孤独なふるえる魂と魂
それらが共鳴するだけで満足であった
血塗れの手と手を繋ぐ
暗闇の屠場のなかで彼らの魂は輝く
一輪の花のように
彼らは幸福だった
昼野陽平
2024年08月04日(日) 21時11分53秒 公開
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■作者からのメッセージ
ありがとうございます。
稚拙ですがよろしくお願いします。

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No.1  陽炎  評価:40点  ■2024-08-06 15:01  ID:qUGSF4Qri.s
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家畜の腕や脚を血塗れで解体するグロテスクさも
盲目の少年少女たちには見えない
彼らが見ているものは
見えている者たちが決して見ることのできない
透明で純粋で穢れのないものなのでしょうね

命を奪い、命を殺し、命を軽んじる
そこに愛などというものは存在しないのだと
きっと彼らは知っているのでしょう

血塗れの、汚れた現実を見ないでいられるのは
幸福なことなのかもしれないですね
総レス数 1  合計 40

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