眠り薬をください、わたしにも

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心の奥に隠している 云えない謂れがあるんです

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たとえばわたしが空気だったら 
きっと誰もが吸い込んだ途端にむせ返るだろう

たとえばわたしが水だったら 
きっと誰もが口に含んだ瞬間に吐き出すだろう

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みーんな嘘つき

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なんで皆そんなにおしゃべりなの 
なんでそんなに自分のことばっかりしゃべってられるの 
ねぇちょっと わたしの話聞いてるの

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笑ったら 何故だかとめどもなく 
涙があふれてきた

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好きになるのは簡単 でも好きで居続けるのは難しいって 
愛はどうだで緒形拳さんが云ってた 
ほんとそれ

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愛とは喩えば水 
水を飲まなけりゃ人は死ぬ 
愛とは喩えば炊きたてのご飯 
食べなけりゃ人は死ぬ 
ただ水だけでは ただご飯だけでは栄養が足りない
塩気が欲しくなる 甘味が欲しくなる
辛味が欲しくなる 酸味が欲しくなる
時には苦味さえも
愛とはつまり そういうこと

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恋とか恋愛とか みんなよくあんなこと
頑張ってしてるなって思うよ

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生きるために無理やり胃に流し込むごはんほど 美味しくないものはない

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人間用のクレ556ってないものかしら

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気がつけばいつもひとりぼっち

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思い当たる節がないっていうのは重症なんだろうか 
みんな去ってく 
何か気に食わないことしたのかな 
思い当たることなんてないはずなんだけどな 
黙っていなくならなくたっていいじゃないか

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解ってるよ 知ってる 
誰もわたしのことなんか好きにならないって 
ずっとそうだもん 
生まれたときからそうだもん 
そんなガッカリした顏しなくていいよ 
別にあなたが悪いって云ってるわけじゃないし

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ただ生きてるだけで ひとに嫌われる 
わたしの存在そのものがきっと ひとを苛つかせているのだろう 
最初からいらない子どもだったんだから

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悪いのは本当はぜんぶ わたしのほうかもしれない

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お前なんか死んでしまえ、って云いたかったのは
本当は自分自身にだった

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嘘でもいいから たった一度だけでいいから 
好きだと言って

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多分いまギュってされたら 迷わず泣いちゃう自信あるよ

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いっそのこともう終わりにしてしまえたら 
どんなに楽かしれやしない

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ゴミ箱にさえ入れなかった思い

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誰の記憶の中にも存在していないなら 
それはもう死んだも同じことよね

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ツライって口に出したら 余計にツラくなりそうで 
だから何でもないようなふりをして 
こんなのどうってことないってふりをして 
今日もひとり 部屋の中

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あんたがいままでされてきたこと 未だに忘れられないように 
わたしもあんたらにされてきたこと 多分一生忘れないから 
そのつもりで 

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子どもが不安がっているのに 
大丈夫だから心配しないでって言ってくれる大人 ひとりもいなかった 
異常なうちだよ

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生まれた町には海が近くにあったけど 
そう云えば一度も連れて行ってもらった記憶がない

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考え方を変えてみては?とか 
見方を変えてみては?とか 
もうそういうのいらないんだ 
考え方を変えてみたって
見方を変えてみたって 
明日も明後日も1年先も
笑ってる自分を想像できやしないのだから

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わたしたち いつになったら笑えるようになるかしら 
過ぎたことと思えるようになるかしら

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時間なんか いつまで経ったって解決なんかしてくれないわ

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生きてたらいいことあるって 
いいことってなにさ 
そのざっくりした云い方やめてくれない

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何をどうすればしあわせと云えるのか 
わたしにはよくわからない 
大層なことは望まないよ 
災いが降ってこさえしなければ
ふしあわせでさえなければ
それで十分

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わたしは大勢いるとしゃべれなくなります 
3人でもギリ無理です 
必ず2対1になるからです 
そして必ずわたしが1の役になるからです
2人ならまあまあしゃべれます 
詩の中でだけ 一番おしゃべりになります

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人間が好きですか わたしはキライでした 
人間は平気で嘘をつきます 簡単に人を陥れます
自分が損することはしません 
ひとによってコロコロと態度を変えます 
わたしはそんなわたしが超キライでした

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わたしの感情はわたしのものであって 貴方のものではありません 
わたしが笑うと何故怒るんですか 
憎まないと許さないのは何故ですか

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わたしって自分で思う以上にひどい人間なのかもしれない

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わたしの躰は原因不明が多い 
原因不明の頭痛 
原因不明の微熱 
原因不明の吐血 
原因不明の倦怠感 
わたしという存在自体が原因不明なのかも

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何かしらの名前がつけば 少しは安心できるのに

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心って目に見えないと思うでしょ 
でも違うんだよ 
その頭も目も鼻も口も手も足も胸も背中も 
全部が心なんだ 
心が痛いと色々痛くなるのは 
つまりそういうこと

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言葉だけじゃなく 態度で示してよ

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ヘタクソって云ったら 傷つくかな

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人生の折り返し地点なんて言葉があるけど 
人生に折り返しなんてあるわけないだろ

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あなたの人生とわたしの人生とは 
こうやって詩を通して出会うまで 
決して交わることのない線上だった

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陽炎
2024年07月30日(火) 10時32分59秒 公開
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