眠り薬をください、わたしにも |
***************************** 心の奥に隠している 云えない謂れがあるんです ***************************** たとえばわたしが空気だったら きっと誰もが吸い込んだ途端にむせ返るだろう たとえばわたしが水だったら きっと誰もが口に含んだ瞬間に吐き出すだろう ***************************** みーんな嘘つき ***************************** なんで皆そんなにおしゃべりなの なんでそんなに自分のことばっかりしゃべってられるの ねぇちょっと わたしの話聞いてるの ***************************** 笑ったら 何故だかとめどもなく 涙があふれてきた ***************************** 好きになるのは簡単 でも好きで居続けるのは難しいって 愛はどうだで緒形拳さんが云ってた ほんとそれ ***************************** 愛とは喩えば水 水を飲まなけりゃ人は死ぬ 愛とは喩えば炊きたてのご飯 食べなけりゃ人は死ぬ ただ水だけでは ただご飯だけでは栄養が足りない 塩気が欲しくなる 甘味が欲しくなる 辛味が欲しくなる 酸味が欲しくなる 時には苦味さえも 愛とはつまり そういうこと ***************************** 恋とか恋愛とか みんなよくあんなこと 頑張ってしてるなって思うよ ***************************** 生きるために無理やり胃に流し込むごはんほど 美味しくないものはない ***************************** 人間用のクレ556ってないものかしら ***************************** 気がつけばいつもひとりぼっち ***************************** 思い当たる節がないっていうのは重症なんだろうか みんな去ってく 何か気に食わないことしたのかな 思い当たることなんてないはずなんだけどな 黙っていなくならなくたっていいじゃないか ***************************** 解ってるよ 知ってる 誰もわたしのことなんか好きにならないって ずっとそうだもん 生まれたときからそうだもん そんなガッカリした顏しなくていいよ 別にあなたが悪いって云ってるわけじゃないし ***************************** ただ生きてるだけで ひとに嫌われる わたしの存在そのものがきっと ひとを苛つかせているのだろう 最初からいらない子どもだったんだから ***************************** 悪いのは本当はぜんぶ わたしのほうかもしれない ***************************** お前なんか死んでしまえ、って云いたかったのは 本当は自分自身にだった ***************************** 嘘でもいいから たった一度だけでいいから 好きだと言って ***************************** 多分いまギュってされたら 迷わず泣いちゃう自信あるよ ***************************** いっそのこともう終わりにしてしまえたら どんなに楽かしれやしない ***************************** ゴミ箱にさえ入れなかった思い ***************************** 誰の記憶の中にも存在していないなら それはもう死んだも同じことよね ***************************** ツライって口に出したら 余計にツラくなりそうで だから何でもないようなふりをして こんなのどうってことないってふりをして 今日もひとり 部屋の中 ***************************** あんたがいままでされてきたこと 未だに忘れられないように わたしもあんたらにされてきたこと 多分一生忘れないから そのつもりで ***************************** 子どもが不安がっているのに 大丈夫だから心配しないでって言ってくれる大人 ひとりもいなかった 異常なうちだよ ***************************** 生まれた町には海が近くにあったけど そう云えば一度も連れて行ってもらった記憶がない ***************************** 考え方を変えてみては?とか 見方を変えてみては?とか もうそういうのいらないんだ 考え方を変えてみたって 見方を変えてみたって 明日も明後日も1年先も 笑ってる自分を想像できやしないのだから ***************************** わたしたち いつになったら笑えるようになるかしら 過ぎたことと思えるようになるかしら ***************************** 時間なんか いつまで経ったって解決なんかしてくれないわ ***************************** 生きてたらいいことあるって いいことってなにさ そのざっくりした云い方やめてくれない ***************************** 何をどうすればしあわせと云えるのか わたしにはよくわからない 大層なことは望まないよ 災いが降ってこさえしなければ ふしあわせでさえなければ それで十分 ***************************** わたしは大勢いるとしゃべれなくなります 3人でもギリ無理です 必ず2対1になるからです そして必ずわたしが1の役になるからです 2人ならまあまあしゃべれます 詩の中でだけ 一番おしゃべりになります ***************************** 人間が好きですか わたしはキライでした 人間は平気で嘘をつきます 簡単に人を陥れます 自分が損することはしません ひとによってコロコロと態度を変えます わたしはそんなわたしが超キライでした ***************************** わたしの感情はわたしのものであって 貴方のものではありません わたしが笑うと何故怒るんですか 憎まないと許さないのは何故ですか ***************************** わたしって自分で思う以上にひどい人間なのかもしれない ***************************** わたしの躰は原因不明が多い 原因不明の頭痛 原因不明の微熱 原因不明の吐血 原因不明の倦怠感 わたしという存在自体が原因不明なのかも ***************************** 何かしらの名前がつけば 少しは安心できるのに ***************************** 心って目に見えないと思うでしょ でも違うんだよ その頭も目も鼻も口も手も足も胸も背中も 全部が心なんだ 心が痛いと色々痛くなるのは つまりそういうこと ***************************** 言葉だけじゃなく 態度で示してよ ***************************** ヘタクソって云ったら 傷つくかな ***************************** 人生の折り返し地点なんて言葉があるけど 人生に折り返しなんてあるわけないだろ ***************************** あなたの人生とわたしの人生とは こうやって詩を通して出会うまで 決して交わることのない線上だった ***************************** |
陽炎
2024年07月30日(火) 10時32分59秒 公開 ■この作品の著作権は陽炎さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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