語れはしないこと、飾れはしないこと
酩酊した僕に
君は指差して言うんだ

あれだけワクワクした夏の匂いだって苦痛だよ、ってね

だから僕も拍子を合わせて言うさ

紙切れだって馬鹿にした色褪せた写真も
くだらないって封をしたボロボロの日記帳も
お互い最悪の思い出だっていう、あの夏の日だって
忘れようがない、ってね

君は笑うんだよね
笑えるんだよね

夏の匂いと思い出すよね
悔しくって泣いちゃうくせにさ、って


笑うな
わらわないでよ

口に出すな
声に出さないでよ

あの頃の君でいないで
僕と同じように焦燥する君でいてよ

ぶれてないつもりだったんだよ
変わらない事なんて認めたくないんだよ
黒く塗りつぶした僕の人生計画は、惨めなんかじゃないんだ

笑顔できるようになったね、って
いつかの言葉が今でも痛むことを君は知らないんだろうな


ちょっとイライラしながら視線を合わせたらさ
君は「ん?」って目を細めてるんだ

嗚呼、馬鹿みたいだ

思わず泣きそうになる
僕は君の手だって握れやしないのに

君は一息にその境界を越えてくるから


「キスでもしたくなったか?」

って笑う君には
僕の気持ちなんかわかりゃしないんだろうなぁ
僅夜
2022年09月02日(金) 03時00分59秒 公開
■この作品の著作権は僅夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
でも、明日も、ずっといてほしい

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No.2  僅夜  評価:0点  ■2022-10-10 01:18  ID:rnZY5UMtuok
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>ナカトノ マイ 様
自分に無いものを持っている人に惹かれるとでもいうのか
でもそれを認めたくない気持ちもあって
嫉妬だなんて思いたくないし少なくとも憧れではない
心のモヤモヤを詩にして投げてみる
No.1  ナカトノ マイ  評価:50点  ■2022-09-14 16:10  ID:Si7YDVepuFk
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相手のことが好きなはずなのに、その人と会ってなんだか惨めな気持ちになってしまった時のことを思い出しました。胸が苦しくなる感じが好きです。
総レス数 2  合計 50

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