好きだから
その一振り一振りに
すき込まれていく春の香り
この身を肥やしにして
たわわに実った戦火は
やがて来る本当の苦しみを
感情の奥底の畑や田に
もうそこまで来ている春の
感謝と敬意に満ちた人々の歌と共に
一つずつ丁寧に植えられたのだ

思い出してほしい
自分の名前をそして
人々の名前を
この大地の掟と
我々の種の由来を
腐りかけたリンゴに這う蟻たちの
有史以来一度も絶えたことのない祈り

心を片隅において
本質に潜っていこう
苦しみも痛みも
感じることのない
高濃度の自我の海へ
私はあなたのことを知らない
あなたは私に興味も持ってくれる?

最後の一人になるまでは
私は神様に出会えない
切ったまま放置されたリンゴには
運命を司る蛇が絡みついて
死体となってまた蟻が這っている
ねえあなたの名前は?
パスワードなしで開けるあなたの事実を
その言葉で私に伝えてください
虎竜
2022年01月31日(月) 22時48分27秒 公開
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No.2  虎竜  評価:--点  ■2022-02-23 23:11  ID:dJ/dE12Tc8A
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ありがとうございます!乱れて纏まらない心情を真っ直ぐな思いに変換するように綴った詩です。好きと言ってもらえてこの詩も報われました。
No.1  ナカトノ マイ  評価:40点  ■2022-02-21 02:39  ID:FLHCVOVt6M.
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「あなたは私に興味を持ってくれる?」のところでグッときました。好きな詩です。
総レス数 2  合計 40

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