無題
「等身大の私に抱きつけよ、少年!」

両腕を広げて、彼女はそう言った。
いま、白亜紀の後進性を燃料で溶かしてる僕らが、その犠牲の上に成り立っている、怠慢さに開き直ったのだと思う

お祭りの夢を見た。
ずっと、老人が調べを歌っていた。
左腕に火傷のあとがあった。
言語がその用法を、語る時に「すべからく落とし穴」にかかる。
だから、猫は言葉を持たない、そして火傷のあともない。

その少女の告白は、純粋なものさしを僕に与えた。
それ以前と以後で世界は、一人から二人になった

ただ、切実にずっと遠くに行きたいと思った。
あのマンションの美しさをずっと覚えている。
そんな感傷が、目の前にいる少女になった。

「もう君は一人では抜け出せない。私に救われておいで」

喜劇だと思った。
そして、一人でできることの限界を理解した。
あの夏の日、あてもなく街を散策した日、雨が一時的に降った日、その僕の言い訳の全部が、柔らかいものになった。

「ありがとう。世界を始めてくれて」
鹿敗北
2020年06月08日(月) 05時04分38秒 公開
■この作品の著作権は鹿敗北さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
長年ソロプレイ(一人で遊んだり、考えたりすること)が好きだったんですが、同じ思考パターンや似たような行動する自分に限界を感じてきています。

殻を破るためには他者が必要なんだって思います。

この作品の感想をお寄せください。
No.2  鹿敗北  評価:--点  ■2020-06-12 04:29  ID:gBjhm/nSDJ.
PASS 編集 削除
うふふ、ありがとうございます。
No.1  阿印陀布  評価:50点  ■2020-06-09 22:49  ID:JwToElcOuJo
PASS 編集 削除
うまく言えませんが、好きです、こーゆーの。
総レス数 2  合計 50

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除