もちろん隠してるわけでは無いのだけど

僕にだって人並みに欲求があって
未だに捨て切れない憧れがあって
疑いなく手に入るって思ってた時期があって
答えが欲しくて泣いた夜があったわけで

ここは僕だけの夜空なんだって
満点の星空を夢想した少年時代もあったし

愚直なまでの想いと精神性の中で
手を握り合うだけでも胸を焦がした時代だってあった

貴方が好きだと言う事もままならなくて
性的指向に悩んだ青年時代なんかも経験してきた人生だ

僕は間違いなく
揺ぎ無く、神に誓って貴方を愛しているのだけど

僕は間違いなく
同性であったあの人を愛していたし今でも夢に見るわけで

それはもちろん
貴方に隠してきたわけではないのだけど

貴方は知るわけないのだけど
ふとした瞬間、あの人のようなブスッとした笑顔を見るたびに
僕はどうしようもなく胸が締め付けられるのです

ちょっと長めのショートヘアーとか
僕に会う時だけは外してるイヤリングとか
いたく気に入って履き続けてるディーゼルのパンツとか

僕は間違いなく
揺ぎ無く、神に誓って貴方を愛しているのに
いつもどこかであの人の残滓を探しているようで

いっそ罵倒されて突き放されれば
それこそ僕は、よっぽど自由に、ほっと息をつけるのに

僕が酔った拍子に
「貴方は初恋の人に似てる」って口走った時だって
「でも今は私に惚れてるんでしょう」って照れる貴方に
僕は助けられて
情けなくて、泣いてしまうのです
僅夜
2019年08月13日(火) 23時58分57秒 公開
■この作品の著作権は僅夜さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
10年振りに再会しました。
動揺しています、普段書かないコメントを書く程度には。
詩を書いて考えを纏めたら、素数でも数えておきます。

この作品の感想をお寄せください。
No.3  僅夜  評価:0点  ■2019-09-12 00:41  ID:Qd9WRudLP2w
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>ナカトノ マイさん
気持ちが濁ってドロドロしてとにかくどこかに吐き出したくて文字にして。
それが美しいと言われたことに、ある種の嬉しさと恥ずかしさを感じます。
誰も悪くないと、その一言にほっとする自分がいます。

>時雨ノ宮 蜉蝣丸 さん
〜おおよそ自己的な感情の燻りでしかない
グサリときます、まさにその通りなのです。
気持ちを落ち着けて、ゆっくりと噛み締めていこうと思います。
No.2  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:30点  ■2019-08-15 20:44  ID:Upu6a2Wl4yI
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誰も、何も、悪いことをしてはいないのだけれど、
おおよそ自己的な感情の燻りでしかないのだけれど、
懊悩するのをやめられない。
自分以外の誰も咎めやしない事象に、償いなど無意味だとわかっているのに。

過ぎ去るのを待つしかないことの、なんと酷なことか。
間違っても、その感情が貴方を苛み続けることがありませんように。
失礼しました。
No.1  ナカトノ マイ  評価:50点  ■2019-08-15 01:08  ID:darjBfV/gfI
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この詩を書いた僅夜さんは間違いなく真っ直ぐで、誰も悪くないからこそ、世界の方が歪んで見える。それほどまでに、あなたの真面目さや優しさが、突き刺さって痛いです。あなたとあなたの詩を、無責任にも美しいと感じてしまうから、未熟な自分が悩ましいです。
総レス数 3  合計 80

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