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「オールライト!」 振りかぶった腕から球がわずかな曲線を描いた。 振るには遅すぎたバットは僕の貞操に似ている。 「バック!レフト!」 雨で崩れた自我像がナルシズムと区別がつかない脅しが、ただ腕を振らせる。 鳴らせ、鳴らせ、鳴らせ、 気が狂うくらいの声援に、猫が死んだ。 あなた方の協奏曲がほとんどポルノだって、君らが無邪気に遊んでる時、大人は思ってた。 寂しいからヴァレリーが27年ぶりに詩を書いたことが、真実なら、僕の言い訳も聞いてほしい。 夏がずっと物語を作ってる。飽きたよ。 走ってる少年少女見るのは。 僕らが見たいのは追憶と離別。 できないから、ここに僕らはいる。 言い訳の。 また空振り。ずっと振ってりゃ当たると思ってた。 ある物理学者が21歳の時に書いた本が一ページも読めない僕の言い分に、少年誌のラブコメ漫画が積み重なったテーブルがある。 見ててよ。今から、ホームラン打つから。 へいへい、オールライト!バックレフト! 上々だね、送球はご機嫌取りではない。 馬鹿みたいに降った雨が半泣きの僕を誤魔化してる。ただし、君以外は。 高めの送球はわずかに放物線を描き、唐突に降下していく。 壁にぶつけたんだろう、人っていう。 言葉になんないくらい、のそのつらみとか絶望がただバウンドして跳ね返ってくる失望を、何回経験したんだい。 へい、ピッチャー、次のサインはボールだ。 ただし、君は無視する。 君は真っ直ぐ投げる。それが満塁ホームランで逆転負けしても、君は真っ直ぐ投げる。 それが僕らの意地だからだ。 雨は上がらない。 オールライト!バックレフト! 上々だね。 |
詩歌敗北者
2019年07月29日(月) 05時51分15秒 公開 ■この作品の著作権は詩歌敗北者さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 詩歌敗北者 評価:0点 ■2019-11-03 21:21 ID:gjt.eGFtkAk | |||||
ありがとうございました〜 | |||||
No.1 僅夜 評価:40点 ■2019-08-13 23:40 ID:P6RVzPWnNEY | |||||
初めは廃墟っぽいと思った、よくよく読めば青臭いとも思う。 いつまでだって鐘は鳴らすべきでしょう、夢はかなう。 ただ、それ以上はわからない。 過去未来への言い訳なのだとしたら、一度手痛いデッドボールを受ければいい。 |
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総レス数 2 合計 40点 |
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