未曾有、その青春の玉砕、 |
内径750mmマンホールは国道XX号にポツポツと穴をあけて、流水を排出する 沈殿した下水は微細菌が浄化し、 やがて、それは巡回し、もはや部品の一部となった我々の管を通る。 海と河川への嘲弄と肉体の汎用性の逆説は、毒性がない一点のみで許された溶液は人工とも言えぬ〈血〉となった。 石から延ばし捻った錬鉄の草臥れ、粒子の乱舞が、手を繋ぎあい、交差し、球状に、あるいは、紡錘糸に連なっていく。様々な意匠を凝らした踊りは、多大なる新しい〈土〉を造った。 見えないモノが遊んでる、比喩ではなく。 我々を遊覧する小惑星帯が月を欠け、宙を貫く炭素の毛糸が彼方へ消えていった 編まれた毛糸のダイヤモンドの発光はどの地域、文化、階級の者にも轟かせた 〈都〉がかつてあった頃の思い出が内から込み上がって、(一体どこから?) 我々はただ一人で佇む頂の夢を見た。 光の外にいる天使の声が出たら目に星屑が入って、五芒星に手が届いた。 そして、子供たちは夢に飛んでいった 土着を滑らかなアスファルトで埋め、軌条が縦横無尽に張り巡らさせる ついには、我々を飛び越えた。 あらゆるプラットフォームは〈銀河鉄道〉と繋がる 電網は新たな道を作ったが、人はいない。 さながら、超合金は鉄との別居。 ここでは、有機的に繋がった機能だけが形而上として価値があるのだ やがて、産み出すことも物語ることも過去を懐かしむことになった 宙に貫く無数の線は、遥か頭上に蜂の巣のような、紋様を作っていく 高度3万6000kmを円球が建ち並び、増殖する 超構造物は、合成繊維で編まれ、平織りに縦横と起伏を揺らした。 濫立する超建築物は、ガラス材で皮膚を覆い、かつてあった城壁を現代に蘇らせた バベルの塔の屈辱から忘れはしない天への渇望は、 静止軌道に新しい星を付け加え、逆さ吊りすることより、可能となる その線を宙を貫き、幾多の辺境でも視認できるだろう もう飛ぶ必要さえないのだ 空を喪い、全てが地上となり、何処までも遠点に向かっていく 騎士がタッチパネルを携え、幹線鉄道に乗りMM'式二両編成で移動する 電網は新しい道を作った、しかしそこに人はいない 情報が川となり、知覚が具体化されていく 時間すら分割し、しかし世界は縮小した そして、全ての体系が破綻した 曲線と幾何が混在したモニュメントはついには、待ち合わせ場所のみにしか機能せず、著者は二度死んだのだ デザインは我々の想像力に負け、原始的な形で止まった(自宅の簡易の電子レンジを見たまえ!) いまや、ショッピングモールが新たな記念碑として生まれ変わる それは博覧会さながらに家族を惹きつけ、子供に〈月の石〉の代わりにLEGOブロックの展示物を見せた あらゆるものの寸法は互換可能であり、 〈そう!あの鉄塔でさえ!〉 新陳代謝を無機物が行う。 中世の調和を棄て、自生していく構造は、律令の元に、しかし、かえってその下で自由を謳歌した 青春は今花開いたのだ! 今はもう「工場」は何も製品を生み出さない することと言えは、陳情を束ねて形而上的を歌うことのみだ。 あるいは、巨大な空間を、集会と討論の場所して提供する。 〈メーク落としで美肌づくり〉謳う表面のSCREENmaskは我々を著名人にして、あの頃の停滞の、女性から一向だに進まない時間。 老化の死、逆説に生まれた言葉は、同人を何人も作り、〈苗字番号〉を英数字で齎した。 穴という穴から直射日光で二酸化炭素と油汗から酸素を血液に挿入する 殺菌窒素や光源はわずかに輪郭を揺らし、ぼんやりと蛍に近づいた我々を不滅した。 あらゆる乗用車が浮き、海に、あるいは、空に、スクリューを螺旋で上下した。 家族は別の家族をシミュレートし、保険会社に通信しては、取っ替え引っ替えした。 数えるほどが子供を産み、承認には、試験をクリアしなければならなかった。 子供は存在しない。不死のみだけが存在した。 事故でわしゃくしゃになった人工肢体は翌朝には、メークアップされた。 永遠に枯渇寸前の状態の70億人が、只管に余暇を弄んだ。 許さない文士は、古き土の匂いがあの暖色の煉瓦造の建築が愚弄されていることに、足場を地上に根を張る植物に、生命の神秘が湖に沈めてあったように、固有名詞が売買の基本であったように、我々が卑近な肉体を持っていたはずだと言うように、 ただし、〈文章〉が電子化することは都合よく許容した。 死にゆく旧人達は良き21世紀にコカコーラと糖尿病の時代だったと警句を新しい時代の不朽の時代に、古くなることがない永遠のアップデートの時代に鳴らし、恐れをなした。 ばいばい、生命の電池。 ばいばい、有限。 ばいばい、老体。 ばいばい、青春のアスファルトの亀裂。 ばいばい、新陳代謝。 こんにちは、未来の子供達。 さて、未曾有。生理や陰毛の生え際に崩れ落ちた。産ぶ声をあげたのだから。 老人の詩集よ、思春期よ、潰えたのだよ チェックスカートの男子が呟いた |
逃げ腰
2018年12月11日(火) 08時56分20秒 公開 ■この作品の著作権は逃げ腰さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 逃げ腰 評価:--点 ■2018-12-12 08:28 ID:lzY0c/NnUfY | |||||
時雨ノ宮さんお久しぶりです 僕も詩を深く読み込むことができていたような気がします。最近は想像力の停滞なのか、とんと鮮明度が落ちています。共感します。 単純な詩には先入観からか、直接的な詩だなあと感じてしまいます。 コメントありがとうございます。 |
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No.1 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:30点 ■2018-12-12 02:17 ID:D/CmDBERa6c | |||||
こんばんは。 ふらっと立ち寄って、久しく誰かの詩を目にして、以前の自分はもっと深く言葉を読み込めていたような気がして驚いています。 随分直接的な言葉に慣れてしまったなぁ、とも。 お邪魔いたしました。 |
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総レス数 2 合計 30点 |
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