独白 |
だれもどこにもいない気がするんですよ。わたしすらもいない気がするんですよ。わたしはただの空白で、どこにも行くことができないんですよ。 わたしの身体にある空洞について。それがいつ現れたかわらないんですけれど、それがじわりじわりと広がっていって、わたし自身をただの抜け殻みたいにしてしまうんですよ。そうして世界と自分の間がどんどん薄くなっていって、ついに私は世界に溶けてしまったのかもしれない。 女生徒みたいに、私どこにも行けないわ、と叫ぶこともできぬのです。紺色と赤いスカーフ。記憶に胸がざわりとします。うつくしい彼らと愚かで愛しい過去の私よ。透明な日々よ。諸行無常とは残酷か。 ここにあるのはしろい窓と暗い家具の輪郭だけ。突然わいてきた消えてなくなれ、という感情を持て余したので口に出した。 最近、独り言が増えたかもしれない。 |
雨水 らん
2018年08月02日(木) 23時35分11秒 公開 ■この作品の著作権は雨水 らんさんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.1 僅夜 評価:40点 ■2018-08-27 02:15 ID:Xu2EB755TiY | |||||
過去の誰かが眩しくて、今の自分が見てられなくて。 忘れていくことで安堵して、捨てていくことに焦燥していく。 独り言と、自身で吐き出すことも許せなくて。 読めば読むほど僕はどうすればいいのかわからなくなるのです。 |
|||||
総レス数 1 合計 40点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス Cookie |