耳の聞こえない画家と、目の見えない恋人 |
キャンパスの上に 筆を歩かせる ふと肩に手の感触を感じ 振り向くと彼女が笑っている 彼女の手には 声に出した言葉を文字に変える機械 何を描いてるの? そう問う言葉が画面に浮かぶ 僕の手には 入力した言葉を読み上げる機械 君の絵だよ スピーカーから声が流れる ブロンドの髪 すっと通る鼻筋 艶のある唇と 乳白色の瞳 後ろで彼女はヴィオラを手に取り 数節を奏でる 僕はヴィオラの先端に取り付けられた金属板を そっと指で触れる 彼女に僕は見えず 僕の愛する世界も見えない 僕に彼女の声は聞こえず 彼女の愛する世界も聞こえない 愛というにはあまりに苦く 呪いと呼ぶにはあまりに尊い 時にもどかしく思い 当て付けるように体を重ねる この目を彼女に与えたい そして彼女の耳がほしい されどそれは永遠に叶わない 贅沢な願い |
TAKE
2018年06月06日(水) 14時48分03秒 公開 ■この作品の著作権はTAKEさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.1 ナカトノ マイ 評価:40点 ■2018-06-19 21:29 ID:fLt.6PjGqOo | |||||
相手への愛おしさ、世界を共有できない悲しさ、自分にはないものを持っている相手への羨ましさなど、色々な感情が入り混じっているようで、素敵だと思いました。 | |||||
総レス数 1 合計 40点 |
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