| 夕梅 |
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悪ぃな 忘れちまったんだ すっかりなんにも無ぇ 昨日の晩飯のことも 今朝のニュースのことも なんにも思い出せねぇんだ たぶん あれだ ナントカ喪失ってやつ ほんとに思い出せねぇ 忘れたくて忘れたわけじゃねぇ 当たり前だろ 誰が好きこのんで こんな不便を欲しがるもんか いい加減にしろや なぁ ふて腐れんなよ 悪ぃと思ってんだぜ 迷惑かけちまってるし お前のことも怒らせちまったし なぁ 本気でそう思ってんだぜ 絶対忘れねぇって 忘れるわけねぇって 信じてたんだからよ 当たり前ぇだろ だって、 そうじゃなきゃ、 今日、 お前の誕生日なんだろ そんで、 卒業式なんだろ 明日引っ越しちまうから、 せめて今日くらいは逢いにって 親御さんに無理言って ここまで走ってきてくれたんだろ わかったよ すぐに お前の表情見て ああ、って …… ………… ……悪ぃ、 最初のはちみっと嘘 ほんとは 人から教えてもらったんだ お前のことと 今日のこと でも最後のは本当だ ほんとに本当だ 走ってきたお前の顔見て、 めちゃくちゃ必死な顔で、 俺の方見た瞬間、 ふわって、 ほんと 花が咲くみたいに笑って 俺が謝ったら この世が終わるみたいに 悲しい顔になった そん時 ああ 俺 なんてことしたんだろって 忘れてるはずの顔の子が こんなに悲しそうにしてて なんで俺 この子のこと、 思い出せねんだって 本気でそう思った ほんと ほんと、ごめん ごめんな 思い出せなくて 忘れちゃいけなかった 思い出せたのは それだけなんだ お前のこと 絶対に 何があっても 忘れちゃいけなかったこと それだけが 今 俺が 思い出せることの全部なんだ ……悪ぃな ほんと 赦してくれ、なんて 口が裂けても言いやしねぇよ そこだけは安心しな もう忘れねぇから お前が忘れてくれって言うなら 別だけどさ ……はは しっかし、 ひでぇ茜の空だな 焼け落ちちまうんじゃねぇか そんで灰みたいな 夜が来んじゃねぇの 梅が咲いてたな 白いやつがさ 満開だけど この調子だと 空が全部焼いちまうかもな ……笑えねぇか もし、さ 今晩 灰みたいな夜が来て 冷たい朝の鴉が 明日お前を殺しに来たら 俺が そいつを 殺しちまってもいいか ……冗談 そんな顔すんなよ 俺のが泣いちまうだろ 結構 繊細なんだぜ、 これでも ……笑うなよ、ひでぇな そろそろ時間か ほんと 悪かったな ……ごめんな ほんと …… ……あ、そうだ 忘れるとこだった やっぱ危ねぇかもな、俺 卒業、 おめでとう ……ほんと笑うなよ、 オイ |
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時雨ノ宮 蜉蝣丸
2018年03月20日(火) 01時59分22秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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| No.6 小夜 評価：20点 ■2018-04-22 18:28 ID:WR/tFdbl8Lo | |||||
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こんばんは。 遅ればせながら、こっそりとコメントを。 す、すごいですね（もちろん良い意味で☆）。 長めの作品なのに、最後まで読ませる文才。 羨ましいです☆ ごちそうさまでした。 |
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| No.5 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価：0点 ■2018-03-28 00:38 ID:UAn2LKDDOuQ | |||||
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北乃うさぎ 様 コメント感謝致します。 遠回しに皮肉った文章が好きな人がいれば、ダイレクトに感情を見せるのが好きな人もいます。作成物の大抵が前者になっている自分について、そもそもの人となりがうっかり天邪鬼なのだから当然とも思う今日この頃。 感覚的であるからこその詩、ならば個性が好みに直結して然るべきかと。 事なかれ主義は自分も嫌いです。でも心臓がノミなので、遠回しに皮肉って揚げ足とって虎視眈々隙あらば足下からの転覆を狙っているという感じです。なので実直な方からは初見嫌われています。 もうちょっと素直になれないかなと思います。ありがとうございました。 |
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| No.4 北乃うさぎ 評価：10点 ■2018-03-23 17:52 ID:hQLqXqXj732 | |||||
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時雨ノ宮 蜉蝣丸さん はじめまして。 あくまでも、私の感性なのですが、 この詩を冒頭から読み始め、 続きを読みたいという意欲が 湧いて来ませんでした。 それが何故なのか、論理的な説明は 出来ませんが、 詩とはやはり、 感覚的な部分が大きいんだな、と 改めて気付かされました。 決して誹謗や中傷をしているわけでは ありません、ご容赦ください。 馴れ合いや事勿れ主義を貫くより、 オネスティを優先してしまうタチなので、 悪しからず。 |
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| No.3 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価：0点 ■2018-03-22 21:04 ID:/bOKuKfXLgw | |||||
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ヤエ 様 コメント感謝致します。お久しゅうございます。 夕日が庭木や街路樹に差すたびに、嗚呼焼けそうだなと思うことがあったので、それを描いてみました。 冷たい朝の鴉云々のところについてですが、『三千世界の鴉を殺し、ぬしと朝寝がしてみたい』という高杉晋作の都々逸から少々持ってきたものです。これの解釈はちょっと長いので割愛しますが調べればすぐ出てくるはずです。 色々な誓約（親に無理を言った、明日は引っ越しで自ずと別れなければならない等）を破りかねない『お前』を疎んだ鴉が、翌朝お前を殺しに来るとしたら俺は、的なニュアンスだったと思います。ご大層な字面に仕上げちゃってますがそんな深い考察はせずに書いてました。 毎度お褒めいただいて本当に恐縮です。 ありがとうございました。またよろしくお願いします。 ナカトノ マイ 様 コメント感謝致します。初めまして。 夜中の思いつきで、物語にするには些か煮詰まらなかった言葉達です。 色彩は白い花弁が燃えて灰になっていくイメージです、伝わったならば幸いと思います。 ありがとうございました。 |
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| No.2 ヤエ 評価：40点 ■2018-03-20 22:57 ID:tDigFCNqnys | |||||
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時雨ノ宮さん こんばんは。 「焼け落ちちまうんじゃねぇか そんで灰みたいな 夜が来んじゃねぇの」 ここの表現、好きです。 また、それに続く 「もし、さ 今晩 灰みたいな夜が来て 冷たい朝の鴉が 明日お前を殺しに来たら」 の部分、もし内包されている意味や解説があればお聞きしたいなぁと思いました。冷たい朝の鴉は何を表してるんだろうなぁと、気になったので。 全体的に行間や空白が、言葉をポツリポツリと落として言ってる感じがして、素敵でした。照れくさい感じと、悲しい感じと、暖かさと切なさが混じっていて、色彩も鮮やかなのとモノトーンなのと、素敵なバランスでした。 ありがとうございます。 |
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| No.1 ナカトノ マイ 評価：50点 ■2018-03-20 19:09 ID:UjNvKT0cD2E | |||||
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詩だけれども、物語でもある。 そんな２つの性格を持ったこの文章にとても惹かれました。 梅の白に、茜、灰という色の変化が素敵だと思います。 「卒業式」や「引っ越し」というワードも今の時期にぴったりで、とても切なくなりました。 |
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| 総レス数 6 合計 120点 | |||||
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