濃霧 |
眼鏡が曇ったのかと思ったら 街が霧に包まれていた 土曜深夜の郊外に人気はなく 街灯の光が朧げな台形を描いていた 湿った足音が辺りに響き ミュージックバーで歌っていた 懐かしいメロディを反芻する Ob-La-Di, Ob-La-Da 薄く灯った看板の店で 軽い夜食を買い求め 温めてもらっている間に ポケットの中で通知音が鳴った 香港へ行ってくるんだけど どの服がいいと思う? 何枚かの写真と共に 送られてきたメッセージ どれも半袖を着ている写真に まだ寒いんじゃない? と返す 23度あるらしいよ、と 再び通知画面に浮かぶメッセージ どれが一番好き? と問う言葉に それを決めるのは彼じゃないかと 的確な正論は言葉に出さず 一番最後の写真を選ぶ 店を出ると霧は濃さを増し 今にも雨へと変わろうとしていた しっとりと滲んだ夜桜を横目に 夜食を携えて家路へと就いた |
TAKE
2017年04月09日(日) 23時29分02秒 公開 ■この作品の著作権はTAKEさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.1 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:30点 ■2017-04-12 01:25 ID:JPjNTeeM2nY | |||||
こんばんは。 悪気なく野暮ったいことをやらかす人への正論はなぜか言いづらいものです。 最後の連で、重く水を吸った花びらが幽かに揺れるのが見えましてお気に入りです。 ありがとうございました。 |
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総レス数 1 合計 30点 |
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