曇天の
    朝霧を

  貫く

   朱い光と

 止めどなく

  流れてゆく

    人の足

    車の列に

 浮き足立つことを

     忘れた

  踵が乗っていく


 何を望んでいたのか

   何を

    唄っていたのか

  今や

 崩れ 褪せてしまった


     なんだったっけ


   在りし日の

  限りなく愚かしく

   透明無垢な

   心の果て

        は



 一筋の
      雨粒

  傘を持たない

    灰色の群れに

  橙
    一片


     束の間の戯れ



時雨ノ宮 蜉蝣丸
2016年11月25日(金) 08時17分13秒 公開
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■作者からのメッセージ
寒々しき秋の夜明け

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No.5  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2016-12-15 19:57  ID:eFOY3cHRZZU
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井之四花 頂 様

コメント感謝致します。
過去が如何に愚かしく、くだらなく見えたところで、今に在る自分達にどうこうできることなど何一つないのです。
寒々しく褪せた2℃の街、電車も交差点もビルヂングも灰色で、その隙間を縫うように歩いて行く人々。丸まった背が素知らぬふりをするのは、単に寒いからなのか。ふと思い出した過去の明るさが、鬱陶しくて恋しくてたまらないからなのか。
『愚者の光学』、きっとそうだと思います。思っていたことを汲みとっていただけてとても嬉しいです。

ありがとうございました。
No.4  井之四花 頂  評価:50点  ■2016-12-11 01:10  ID:3MOjXOnubh.
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時雨ノ宮 蜉蝣丸様

こんばんは。

「心象」とは「心傷」の謂であるのかもしれません。

木の葉が舞い散るように言葉が落ちていく。その翌朝に広がる寒々とした情景。

しかし寒々としているのは私たちの視野であって、自然そのものは何の変化もなくそこにある。

寒々とした情景の責任を、いつの間にか私たちは背負わされている。

「在りし日」は「限りなく愚かし」かったのかどうか。
今の私たちが愚かになっただけではないのか。愚者の光学にすぎないのではないのか。

私はそんなふうに考えるのです。

技法的なことはあまり申し上げられませんが、印象に残る作品でした。

詩評とも言えない駄文ご容赦ください。
No.3  時雨ノ宮 蜉蝣丸  評価:0点  ■2016-12-08 01:30  ID:eFOY3cHRZZU
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ヤエ 様

コメント感謝致します。お久しゅうございます。
好きと言っていただけて、本当に嬉しいです。久しぶりすぎて「こんなだったかしら」と戸惑っています。言葉遊びに夢中になってくるくる回らないよう、また書いていこうと思ってます。
ありがとうございました。



秋雨さん 様

コメント感謝致します。
いろいろご指摘或いは感想、参考になりまして大変有り難いです。そのうえで、幾つかお答えしようと思います。
余白と改行については、ずいぶん前からこのスタイルで安定しているので、今さら変えられませんです。この詩は軸に『人間』がいるので、割と文章が塊になっているのですが、軸が人間でない場合はもっと単語単語でバラけた格好になります。
冒頭で変に『文章』を繋げてしまうと、全体の視覚的なバランスが崩れてしまうので、「貫く」は分離しました。「貫く」がもともと持つ威力に加えて、もっと欲しくなってしまったのもあると思いますが、秋雨さん的には重たく感じられてしまったのでしょう。すみません。
朝のバスの中で考えついた詩なので、練り上げず直感だけで。「戯れ」、背を丸めて歩く群衆を嘲るようなイメージで書いたかな、と。

ありがとうございました。
No.2  ヤエ  評価:50点  ■2016-12-05 17:56  ID:BymBLCyvz/o
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お久し振りです。
時雨ノ宮さんの言葉選びが好きだからか、字面を辿って何故か心が凪いでいます。
橙一片と当一片の互換が似てて面白かったです。
No.1  秋雨さん  評価:50点  ■2016-12-05 02:16  ID:DtiyebAOL.I
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真面目な作品なので読まされますね。
何点か好みでないところがありますので傲慢ですがそれを書きます。おべっかは不要でしょう。
まず余白と改行、これはもっと控えたほうがいいと思います。理由は無数にあるので一々書かずにそう思うとだけお伝えしておきます。(たとえば提示されたものどおりに読めば冒頭の「貫く」は必要以上に読み手に強調されますが、その認識はおありでしょうか。私はこの「貫く」には言葉自体に強さがあるので、そこにさらにストレスを置くべきでないと感じます。)
「なんだったけ」これは不要でしょう。
あと表現表現でもっともっと欲しい。もっと求めてしまう。そこらへんのヒントになる詩をひとつ紹介しておきます。中原中也の「幼なかりし日」という詩です。もしよかったら参考になさってください。
最後の「戯れ」、ここは私なら悩みぬいて別のワードにしますかね。
それではさようなら。
総レス数 5  合計 150

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