春嵐 |
壊れかけの窓を 容赦なく 叩いてゆく 唸り声 の 午前二時 抜け出した 毛布の 隙間 開け放った 硝子 に 吹きすさぶ 風 風 轟音 ざわめき 嗚呼 呼ばれているのだろうか と 錯覚しそうに なるような 早く来い、 早く出てこい そんな 言葉が 幻聴紛いに 心を 焦がす 夜 やめておくれ もう 終わりにしておくれ 諦めたいんだ これ以上は 荒ぶる呼吸が 肋骨を 軋ませて 漂う 仄かな 梅の香り は まだ縋っていたい 幻想の色を 孕んで 俺を 押し潰さん と 戻れない 昔日の夜に 連れ去らんと 叫ぶ こんなにも 綺麗な星空 なの に 泣いている ように 今にも ひび割れて 砕け落ちてしまいそうに 見える の は 何故なんだろう 嵐 春の嵐 白梅を散らし 星空を 砕き 誰も知らない 哀しい声で 泣き叫ぶ 春の嵐 連れて行ってくれ どこへだっていい 俺を知らない場所へ 幸せも 不幸せも 忘れさせてくれる 遠い 静かな場所へ 瞬く夜空を かっ攫っていくように それが 叶わない望みであることは とうに 知っているから 嗚呼どうか 神様 名も無き 夜の風よ 春の嵐 明けの光は まだ見たくない |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2016年03月06日(日) 03時28分43秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.6 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2016-03-23 19:12 ID:NhwNi9b/qUs | |||||
陽炎 様 コメント感謝致します。 形にならない感情に押し潰されそうな夜は、何をしていても不安で眠れないものです。そんな時に聞こえる春風の轟きは、ひどく不器用に優しい気がしてしまって、刹那的ではあれど安心できるのです。 言葉が与える印象と、文字が与える印象の差が、詩の全体の雰囲気を変えると俺は思ってます。 繊細さ・脆弱さと、激情あるいは破壊衝動。 相反する印象が混ざった時、生まれる何かが見たいのだと思います。 このようにコメントをいただけて嬉しいです。 ありがとうございました。またよろしくお願いします。 流るる星 様 コメント感謝致します。 春ならではの暖かく激しい風の音を感じていただけたならば幸いです。 ありがとうございました。 |
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No.5 陽炎 評価:40点 ■2016-03-23 03:17 ID:y.C3ECh3cdE | |||||
なんというか、発狂前夜というか 断崖絶壁のようなところに立っていて ふと誰かに、軽く指で背中を押されただけで そのまま落っこちていってしまいそうな そんな危うさを感じました 時雨ノ宮さんの詩、言葉には そこはかとない儚さと 壊れてしまいそうなほどの美しさと 時々ぞっとするような残酷さを感じます 私が云うのもなんですが 誰に何を云われようと 大切になさってください また、読みに来ます |
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No.4 流るる星 評価:50点 ■2016-03-23 19:30 ID:YsjZ.3o0GEo | |||||
虎落笛に耳を掻かれて引き込まれそうになる荒々しい暗闇と、沈黙のまま叫ぶ語り手とが共鳴しているようです。嵐が伝わってきます。 《あ、失礼。虎落笛、春には使わないですね。》 |
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No.3 菊池清美 評価:0点 ■2016-03-15 03:25 ID:te6yfYFg2XA | |||||
おお仲間が居て良かったね、馬鹿は退散します! | |||||
No.2 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:--点 ■2016-03-15 03:03 ID:gfBGD/umuuI | |||||
A 様 コメント感謝致します。今晩は。 嵐の夜は轟々唸る風の音が、心の中を掻き切っていくようで少し不安になりますが、一方で既にある不安の気味悪い苦さを忘れさせてくれるので、すっと眠ることができる気がします。せっかく咲いた白梅を散らして、綺麗な星空をぶち壊しそうな勢いで吹きすさぶ風は、本来ならば『恐怖』の対象であってもおかしくないのに。その荒々しさが、どうしてこんなに安心できるのか。 海外の書籍は、あまり手に取らないのですが、そろそろ読んでみてもいいかもしれないですね。今度やってみよう。 この程度で筆は折らないぞ、と常々思ってはいるのですが、……Aさんからのコメント、凄く嬉しかったです。励みになります。 ありがとうございました。今後ともどうぞ、よろしくお願いします。 |
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No.1 A 評価:50点 ■2016-03-15 03:58 ID:BymBLCyvz/o | |||||
拝読させて頂きました。心が締め付けられるようです。心の叫びが見事に言葉になっていて、ひょっとしたら目を背けたくなるような痛切な情景なのに、その中に素晴らしいと感じるものがあります。白梅を散らせ、星空も砕く春の嵐、それは心そのもので、白梅や星空を描き出す以上の何かが表れて、そこに至れないとは言え幸せも不幸せも忘れさせてくれる場所に通じる窓が軋んでいるのを強く感じます。僕も「明けの光」など見たくはないです。この嵐の中でこそ、現れるものがあると信じています。読まれた事があるかもしれませんが、ブロンテの『嵐が丘』という小説があります。僕は最近読んだのですが、こんなに凄い小説があるのかと思いました。どこかこの作品に通じるものがある気がします。美の儚さを、絶望を知っても、なお求める心が苦しみもがきながら発する叫び、この叫びから生まれるものがある事を僕は信じます。 また作品読ませてください。 |
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