Smiley


磨耗した心が映す
灰色の世界
煌めくピアノの音色だけが
空洞を乱舞している
ぱりぱりとひびいり
背中から生える
新しい躰
魂の棺
砂を掻くように
言を紡ぐ

切なさ

というものを
何かに押し付けて
肌の上に肌をまとう
曖昧に微笑んだまま

笹竜胆
2015年11月28日(土) 11時35分21秒 公開
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No.4  笹竜胆  評価:0点  ■2015-12-07 00:51  ID:m3BEPbzkkM.
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お待たせしてすみません。

>ヤエさん
こんばんは。
高村光太郎とは、懐かしいですね。『道程』『レモン哀歌』は詩作を始めた頃、参考にしていました。今回、長らくなおざりにしてきた詩情というものに向き合うことにしたので、そういう原型が表れたのかもしれませんね。身を切るような「美しさ」への憧れ。
「肌の上に肌をまとう」という言葉は、質感こそ柔らかいものの、内容はおぞましいものです。その相反する感じを捉えるあたり、ヤエさんは感性が鋭いと思いました。
詩世界に浸っていただけて良かったです。
No.3  笹竜胆  評価:0点  ■2015-12-05 17:10  ID:m3BEPbzkkM.
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>Aさん
微妙な機微を丁寧に追っていただきありがとうございます。
「背中から生える」のは「新しい殻」にするつもりだったのですが、音のハマリが悪く、「躰」も一種の「殻」と言えるのでこのようにしました。その後羽根のイメージが出ることに気付いて、「魂の棺」と言い換えてバランスをとったのです。この上に飛んでいってしまう言葉に影を付けて留められる言葉を探すのは苦労しました。結果的には、上下の動きが生まれて良かったようですね。
「灰色」「空洞」「砂」は今回使い方が難しいと感じた言葉たちで、安易に「虚しさ」を語る文脈に取り込まれないよう、かなり注意を払いました。この詩では「虚しい」と言ってしまうと終わりで、「微笑み」すら捨てて閉じることになってしまいます。また「魂」が形だけの言葉にならなかったのは本当に幸いです。私も長い間詩作をやっていますが、「豊穣」と言う言葉を批評で初めていただきました。「綺麗」「鋭利」「印象的」は多いのですが。転機なのかな。
閑話休題。
表情ーー感情の繋がりの中で、もっとも読めないのが日本人の微笑みで、アルカイックスマイルの後ろに何があるのか? は日常的にも文化的にも大きな問題だと思ったので取り上げてみました。映像は私の中にもはっきりあって、何故か女性でした。この詩のどこにも明確な言葉はないのに、同じように見える不思議に驚いてます。
ピアノはショパンのイメージでしたが、『亡き王女のためのパヴァーヌ』は以前好きで聞き込んでいたので、何か影響が出ていたかもしれません。ちょうど宮本笑里さんのアルバム『Smile』に収録されていて、この曲の後の『無言歌集』を題に使うか考えていたんですよね。ピアノバージョンがあるとは知りませんでしたが。しかし凄い直感。
No.2  ヤエ  評価:50点  ■2015-11-28 22:34  ID:Uf7XqFVsX0k
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こんばんは
まず、美しいと思いました。先日、高村光太郎の詩を読んで(どうしてこんなにも美しい)と感動したのを覚えています。
そして、ゆっくり言葉を反芻しながら「肌に肌をまとう」という言葉に暖かさと内側からくる寒さを感じました。
一瞬だけ見えた姿はまたすぐに隠されてしまうのだろうか。そんなことを考えながら、ひとつひとつの言葉に光があって、静かな美しさに浸れました。
No.1  A  評価:50点  ■2015-11-29 14:38  ID:BymBLCyvz/o
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拝読させていただきました。

素敵な作品ですね。「背中から生える」と言えば翼を容易く連想するのですが、新しい躰、魂の棺は、翼のように露骨でない、空洞を乱舞するピアノの煌めく音色に象徴される飛翔と落下の力を秘めている。それは身体と付かず離れずのまま(付いているのでしょうが)で…肌の上にまとわれた肌、切なさと曖昧な微笑との距離がよく表現されていると思います。タイトルにも表れていますが、この作品の関心は記号の中でも「表情」にあるのでしょうね。笑みを浮かべた人の背中がどこか寂しそう、というのはよくある表現ですが、この詩はもっと繊細に一つの表情になっています。「灰色」や「空洞」「砂」といった言葉に虚無あるいは「無表情」を連想するのですが、そうではなく、透明の余り深みはあっても気づかれない湖のような、鏡のように磨きあげられ、ありのままを映す心がここにはあるような気がします。それはきっと魂と呼べる豊饒さを孕んでいます。彼女(?)のスケッチを見てみたくなりました。タイトルは多分『天使の表情』笑 なぜかピアノで弾かれた『亡き王女のためのパヴァーヌ』を思い出しました。
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