ショートピース |
冷たい霧雨の中にかすかに香ってきた 道路をはさんで向かい側の 暗い坂道の途中の 自販機コーナーには屋根があって その下に若い男が立っていた うつむいて ひっそりと タバコを咥えて 白い煙が幽霊みたいに わたしの方へゆらゆらとただよって わたしに届くより遥か遠くで 雨の中に消えてしまった 疲れたわたしが 帰路の途中で顔を上げたのはその一度きりだ わたしはこの香りをよく知っている 人生で一度もタバコを吸ったことのないわたしが 香りだけで区別できるくらい 決して好きな香りじゃない 素敵な思い出なんてひとつもない 強すぎてくらくらとめまいがして いっしょになんていられなかった 香りは霧雨に溶けて わたしの体を濡らしていった 幽霊みたいな白い煙は わたしに届くより遥か遠くで 雨の中に消えてしまった |
春矢トタン
2015年09月18日(金) 12時08分28秒 公開 ■この作品の著作権は春矢トタンさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 小夜 評価:40点 ■2015-09-30 21:45 ID:HAvKuDzE5pI | |||||
こんばんわ☆ 遅ればせながら感想を。 白い煙 = 幽霊みたい ↑面白い発想ですね♪ その発想力、羨ましいですぅw 私はストレートな表現しかできないので…(涙) 次回作も楽しみにしてまぁす☆ ご馳走様でした♪ |
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No.3 葉の歌 評価:40点 ■2015-09-20 10:45 ID:ZGeUHlfOL9Q | |||||
春矢トタンさんおはようです。 第三者視点と主観とが交錯しているように感じました。内的映像と自身の感覚を元に作ったように見えました。勿論、面白いということです。 形が整った丁寧な詩です。 何連かに分けて私も書けると良いのですが汗。 また、うまく説明できないですが、女性的ですね。 三語て難しそうですが、どうなんでしょうか…。 |
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No.2 春矢トタン 評価:--点 ■2015-09-18 22:51 ID:9RQqff0XeF. | |||||
クレナイ 様 ご感想ありがとうございます! 読む人の想像をふくらませるような詩をかけたらいいなと思って書きました。 物語を読み取ってくださってありがとうございました。 |
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No.1 クレナイ 評価:40点 ■2015-09-18 20:34 ID:wQW3U2dEj9s | |||||
こんばんは。 切ない感じがとても好きです。 「わたし」の「強すぎてくらくら」した思い出はどんなものだったんでしょうか。 元が小説だったとのことで、物語性がとても高いなぁと思いました。 ありがとうございました。 |
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総レス数 4 合計 120点 |
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