ぼク
昔、

ボクの背中には
羽根があった。

しろくてキレイなふわふわのハネ、
ではなく。

小さな二本の足が、まるで羽根のようにぶら下がっていた。


ーーーままはかなしくてないちゃった。


今、

ボクの背中には
羽根はない。

ーーーおいしゃさんがとっちゃったの。



歪な羽根は切り取られ、醜い肉塊となって捨てられた。

ボクの羽根はどこへいったの?
ボクの一部はいらなかったの?

ボクは今、不自由なく生きている。

ボクでさえ、生きていくのにボクの一部は不必要だったのか。

かわいそうなボクのはね。

誰にも愛されず、生に不必要だったぼく。

胎内で死にきれなかった歪なぼくよ。

ボクよりも生に執着したぼくは、
なんて惨めな死を迎えたのだろう。


ボクは目を瞑る。
黙祷するかのように、ボクの背中を思い描く。


さようなら、ぼく
ーーーさようなら、ボク


そうして、ボクは
ぼくをなくした不完全な姿のまま生き続けるのだ。
クレナイ
2015年06月12日(金) 19時26分51秒 公開
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No.4  クレナイ  評価:0点  ■2015-07-21 22:36  ID:Y5z8Yaj/4DM
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陽炎 様

返事が遅くなり、申し訳ないです。
ボクはなにか病気を…、とのことですが、この詩の題材は、寄生性双子です。なので、病気と言えば病気と言えます。ですが…、個人的には病気という言葉一つで片づけたくないなと思いつつ…。
題材は寄生性双子なんですが、精神的な面での不完全さや生と死の堺目、生きるも者の罪悪感、不条理などを込めて書きました。
そして、陽炎さんが仰るように、まだ死んでしまったわけじゃない”という思いも込めました。他の誰もがぼく”を邪魔者扱いし、いなくなってもそれが当然かのように忘れ去られてしまっても、ボク”にとってはぼく”は紛れもない自分自身で、自分がいることによりぼく”も生かされてもいる。
なんだか、長くなってしまいましたが(笑)、上記のような思いを少しでも感じてもらえて嬉しかったです。
コメントありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

No.3  クレナイ  評価:0点  ■2015-07-21 22:21  ID:Y5z8Yaj/4DM
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ヤエ 様

またもや返事が遅くなり、申し訳ありません。
タイトルがいいと言ってもらえて嬉しいです!自分なりに考えて付けたので。ぼくとボクは別々の人間でありながら、同じ人間であるので、ひとつにしてみました。
また、表現についてもありがとうございます。表現って本当に難しいですよね。私もいろいろと考えつつ、けれど、自分の中でしっくりくる言葉はなかなかなく、いつも考えさせられます。
返信や投稿は、ゆっくりめになってしまいますが、細々とやっていくので、これからもよろしくお願いします。
No.2  陽炎  評価:30点  ■2015-06-17 15:22  ID:qF/G0WzZYH6
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>お医者さんがとっちゃったの

ボクはなにか病気を患っていたのでしょうか
ここのフレーズにちょっとひっかかってしまいました

タイトルに「ぼク」とぼくとボクを半分ずつにしているところに
はねを無くしてしまったボクの不完全さを表しながら
でもまだ死んでしまったわけじゃない、という思いも
同時に込められているのかな、と思いました

No.1  ヤエ  評価:50点  ■2015-06-13 21:25  ID:6G1KAS8HmaE
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タイトルいいですね。
ぼくとボク、そこからぼクって、好きです。
ぼくであり、ボクのはね は如何にして生に執着したのか。いろいろ考えさせられます。
足が羽のように、っていうのが、その時のリアルさを少し残しつつ、しかし詩的に緩和されているなぁと……。
こういう表現の仕方が出来れば と思いました。ありがとうございます。
総レス数 4  合計 80

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