旅と情動

初めて見た都会は
(高い建物が多いなぁ)
その程度にしか思わなかった

例えば、高いビルに四方を囲まれて
木々の間を縫うように
鮮やかな青空でも垣間見えたなら
少しは感動できたのかもしれないが

鉄塔やビルがリズミカルに並ぶ中
駅の近くにはゴミが散らかっている
中には臭いが酷い場所もあった
(なるほど、歌舞伎町は夜の街か)

昼間には似つかわしくない場所を離れ
池袋へと足を伸ばす
空気はさほど悪くなかった
何故か、京都の四条あたりが脳に過ぎった

サンシャインシティは広かった
建物が幾つか繋がっているらしく
一つの建物の屋上から移動できた
ふと、上を眺めたとき

ぞわり

高いところから 下を覗いた時の
あの感覚が足から迫り
世界が反転したかのような、錯覚
(落ちる場所など無い筈なのに)

暫く立ち尽くして
自分の間近で高くそびえるビルを見つめる
視線を元に戻してから、もう一度見上げる
それを何度も繰り返す

何回かすると あの感覚 も薄まったが
それでも私は 上を見た
窓に映る青い空は徐々に姿を変えていく
当たり前の様子さえ 酷く美しい様に思えた

その後、その建物にある展望台に登った
スカイツリーと、東京タワーが見える
下には さっき自分が立ち尽くした場所が見えた
あの感覚 は襲って来なかった

次の日、スカイツリーにも上ってみた
混んでいて、夕方には間に合わなかったが
夜景は綺麗だと思えた
ただ、感動というには何か足りない

浅草から歩いたので多少疲れていたせいか
床がガラスになっている場所に立っても
あの感覚 は襲ってこない
(不思議なもんだ……)

あっけなく 旅は終わった
6時間ほど夜行バスに揺られた
カーテンを開けてみたかったが
寝ている人に悪いので やめておいた

地元の駅に着く
新鮮な空気を吸い込んで
山から登る朝日を浴びた
当たり前の光景だ

雲と朝日と色づく空
響くアナウンス
まばらな足音
ーーうん、いい

山がなかったのか
妙な納得と共に旅の実感が湧いてくる
豪華な東京駅を思い出す
(子供の頃ならはしゃいだろうな)

昔、父に見せてもらった
機械作りに使う、街のジオラマのような板
それに似たあの光景を
私は、もう一度見たいと思うだろうか

ヤエ
2015年03月16日(月) 16時48分49秒 公開
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■作者からのメッセージ
ちょっと遊びに行ってきました

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No.10  ヤエ  評価:0点  ■2015-03-27 01:39  ID:L6TukelU0BA
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游月さん
こんにちは!
読んで頂きありがとうございます。
確かに日記詩ですね、納得です!
游月さんの体験から、あぁ、なるほどなぁと腑に落ちた気がします。
ありがとうございました。
No.9  游月 昭  評価:20点  ■2015-03-25 11:11  ID:1K/KT8CGgX.
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ヤエさん、こんにちは!

日記詩、って感じですが、田舎もん的可愛らしさがあって良いです。
「余談」ですが、子供の頃のグレーな景色の記憶に、目の前のビルと向き合い背くらべして後ろに倒れそうになった感覚が残っていて、懐かしさを覚えました。あの感覚って、永遠の時や無限大的距離を想像するときの物差しの元になっているような気がします。
ありがとうございました。
No.8  ヤエ  評価:0点  ■2015-03-22 21:26  ID:L6TukelU0BA
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青ガラスさん
UFOですか!!?良いですねぇ!!!!
それは確かに書きたくなります
いえ、詩の雰囲気的に何故か 微妙なイメージばかりピックアップしてしまっただけで、また行ってみたいです
視野や世界観が広がるのは楽しいですよね!
ありがとうございます。
No.7  ヤエ  評価:0点  ■2015-03-22 21:22  ID:L6TukelU0BA
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菊池さん
感想のままに書いたら長くなってしまいました。確かに、詩としては微妙ですね。
ぞわり に焦点を当てて、深く掘り下げれば良かったのかもしれません。ありがとうございます!
No.6  ヤエ  評価:0点  ■2015-03-22 21:18  ID:L6TukelU0BA
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Aさん
立っていたのは高い場所だったのですが高いところを見上げて並行感覚が揺らぐ感じでした。初の体験で、何度も試したくなる……子供の頃と同じですね。
田舎は落ち着きますが、東京にもまた行ってみたいです。秋葉とか、楽しそうですよね!
良い曲ですよね!歌詞を思い出して、何となく、納得しました。
No.5  ヤエ  評価:0点  ■2015-03-22 21:15  ID:L6TukelU0BA
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笹竜胆さん
東京にも、色んな面があるんですね。
次見るときには、また違って見えるかもしれません。
確かに、サンシャインシティは賑わってると言う感じでは無かったような……でも、1日遊べそうな場所でした。
東京で自然を見るというのは不思議な感覚ですが、いくつか巡りたくなりました。
ありがとうございます。
No.4  青ガラス  評価:30点  ■2015-03-18 15:44  ID:GaMBFwOFFuY
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こんにちは、
ヤエさんにとって、ぞわり、、が初めての体験だったんですね。
なん度も繰り返しているところが微笑ましくて、私にはその経験が
無いんですが、UFOを目撃した時はぞわりでした。
その時詩作経験があれば、絶対書いていましたね、笑。
東京の旅はもういいですか?
それに懲りずにまた散策してみてください。
視野を限定しないことも、これから何か成す為には必要ということもあります。
勿論故郷が一番!がいいですよね。
都会の喧騒は疲れます。
私も田園が一番好きですが、都会にも可能性はありますので。
No.3  菊池清美  評価:50点  ■2015-03-18 07:18  ID:33E/nA6Ip9Y
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大作でしたね、詩としては一箇所に絞るべきかな書く人も読む人も散漫に成ってしまう。
旅と言う事で全部を網羅したい気持ちは良く判りますが、サービス過剰感が有ります。
其れは其れで心の籠った作品だと好感が持てますね。
  
No.2  笹竜胆  評価:20点  ■2015-03-18 00:13  ID:OCJ64bKiypI
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そうそう。
東京の空は狭いのよね。
電車で抜けるといつも感じる。

東京で心惹かれるものと言えば。
上野の朝、神保町の夕暮れ。一人でなければ夜の六本木かな。
四季に添えば。
皇居の桜、根津の躑躅、白山の紫陽花、旧古河庭園の薔薇、後楽園の紅葉……冬の銀座とか。
浅草は一本奥に入ると面白い。屋根上の人形を探してみたり。スカイツリーは夜の吾妻橋で屋形船とのツーショットを狙うと綺麗。
後は、日本橋を歩くと景気がわかる。スーツがくたびれていると危険信号。新しいバックをよく見かけるといい感じ。個人的感覚だけどね。

池袋は再開発競争から漏れかかってて、今ちょうど先が見えないところかな。特にサンシャインは。本腰入れないと街が沈む瀬戸際だね。
No.1  A  評価:20点  ■2015-03-17 01:46  ID:O6O0a8UCtXM
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拝読させて頂きました。

「ぞわり」とそれに続く連が面白いですね。空に墜落する、そんな事はあり得ない気がしますが、似たような感覚に通じるエピソードを他の人から聞いたことがあります。僕は体験した事がないのですが、高いところから下に落ちるんじゃないか、という怖さは共感できます。スカイツリーにも登った事があって、確かに夜景綺麗なんだけど感動とまではいかないな、という感じもわかります。東京は、何だかゴミゴミしてて時間の流れも速くて、僕はあんまり好きじゃありません。京都や田舎の方が落ち着きますよね。ただ、ヤエさんの感じられたような「ぞわり」という感覚は、東京を面白いものに変えてしまう力があるような気がします。「ぞわり」の場所に立ち尽くすというのは、どういう感じなんだろう。そして、ヤエさんと違って帰る場所をなくしてしまったらどうなるのだろう。何故か凛として時雨の『DISCO FLIGHT』を思い出すというw
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