箱庭草紙 |
何も変わらないと 本気で思っていた ただ同じ風景が ずっと 同じように巡り巡って 季節のように 同じ 繰り返すと 白梅が 咲いても 山茶花が 散り去っても 何も変わらない この日陰の箱庭の隅で ずっと同じ 退屈な日々が ただ泡沫のように 浮かんでは 揺蕩うことを ごく当たり前のふりで 誤魔化し 誤魔化し 嫌気がさしていました 本当は 千代紙を折る合間に ふと 想う 窮屈な毎日が 秘密箱の絡繰りのように 解けなくて 逃げられなくて ただずっと 哀しいふりをするばかりの 弱虫な 自分のことが いっそ枯れるなら 枯れる前に手折ってしまおうか 硯の淵に映る顔の何て醜い 静かに降り出した氷雨が 障子窓に影法師を運ぶ頃 何気なく見やった庭の入り口に 貴方がいた 蛇の目を傾けて微笑む貴方が 嗚呼 壊したんだ 白梅の蕾の先 滴り落ちる 水は まるで 壊れた箱庭の欠片のようで 立ちこめる雨の匂いに 貴方を探す ふ、と 千代紙の手を止めて |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2015年03月17日(火) 01時15分34秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.9 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-30 13:22 ID:pChbc9/tYnk | |||||
小夜 様 コメント感謝致します。 雰囲気について触れていただいて、喜んでおります。 雨の滴る軒先の世界が見えたならば、幸いです。 ありがとうございました。 |
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No.8 小夜 評価:40点 ■2015-03-29 10:39 ID:Zx/2AUZFW8I | |||||
こんにちわ☆ 遅ればせながら、コメントを。 作中の世界観がしっかりしてるなぁと思いました☆ そして漂う雰囲気。 素敵です、とても☆ ご馳走様でしたぁ♪ 次回作も楽しみにしてまぁす☆ |
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No.7 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-26 15:24 ID:gvAWhR36aZk | |||||
游月 昭 様 コメント感謝致します。 箱庭を現実の庭の暗喩に使うために、いくらか唸った記憶があります。 雨と破片、影と実体、泡沫と日常。 壊れて流れていく描写は難しかったですね……。 丁寧な感想をありがとうございます。 楽しんでいただけたならば、幸いです。 |
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No.6 游月 昭 評価:50点 ■2015-03-25 10:56 ID:1K/KT8CGgX. | |||||
時雨ノ宮 蜉蝣丸さん、こんにちは。 言葉が綺麗に流れていて、また色っぽさがあり、中身には上品さもあっていいですね。 箱庭と現実の庭が重なって近景・遠景を見せる可能性がある仕組みになっているところ、個体と液体をつなげたところなど数々の工夫が威力を発揮させる力をもたせているのだと思います。 何よりも、 「壊したんだ」 までの構成が良くてピリリと来ます。 楽しませて頂きました。 |
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No.5 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-20 21:56 ID:91oDLb1Ifwg | |||||
あぁ、…… あの狼男のやつですねw ていうか俺の罪なの!? コレ 縁側好きの悪い癖といえばそうですね。。。 男性的かつ女性的、中性的なものが好きなのも原因なのかな……。 原因究明! ……前の作品覚えててくださって、ありがとうございました。 |
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No.4 青ガラス 評価:0点 ■2015-03-20 12:31 ID:GaMBFwOFFuY | |||||
あれ〜、女性目線でしたか、、 そうですよね、貴方と書かれていますよね〜 千代紙に秘密箱、ですよね。 きっと、過去作の青い縁側の男性が蘇ってしまって、イメージがリンク で、男性目線かもです。 先入観、、というか それは時雨ノ宮さんの罪! どうもでしたー。 |
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No.3 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-19 00:18 ID:3mSXxTMsmaU | |||||
青ガラス 様 コメント感謝致します。 素敵な解釈をありがとうございます。だいたい合ってますw しかし男性ですか。。。元ネタが女性目線なのでこっちも女性のつもりだったのですが……やっぱり一人称が無いのが原因かな。それとも蛇の目さんのことでしょうか。 とはいえ、まったくどうでもいいことですが個人的に男女とも和服が好きなもので、「着流し」という言葉にときめいてしまいました。 アリです!(笑) 笹竜胆 様 コメント感謝致します。 リライト、というよりは、少しだけ照らす面を変えた感じです。 狭い箱庭に溢れる日常的な憂鬱と食傷を感じていただければ幸いです。 ありがとうございました。 |
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No.2 青ガラス 評価:50点 ■2015-03-18 14:59 ID:GaMBFwOFFuY | |||||
読ませて頂いて、表題をまた見ると わたしの家のテーブルの上に箱庭があって、それをわたしが眺めている。 象嵌の秘密箱は途中まで開けたまま、ブルーグレイの世界の中で 赤い千代紙だけが生気を帯びて目をひく。 着流し姿の男性は物憂げに遠くを見たまま、静止した世界で 雨に打たれたのか、白梅が微かに揺れたような。。。 シックな箱庭ありがとうございます! |
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No.1 笹竜胆 評価:50点 ■2015-03-18 00:09 ID:OCJ64bKiypI | |||||
リライトかな。 日常の言葉から詞海へと広がっていく様が見事です。 そして、ひたひたと滲みるような狂おしさ。 幽玄の世界を垣間見ました。 |
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総レス数 9 合計 190点 |
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