貯古齢糖氷菓 |
目の前で 子供が アイスクリィムを落とした あんまり哀しく泣くので 僕の分をあげるよ と 言いかけた もう少しで けれども 違うのだ あの子が落としたのは チョコレヰト味の アイスクリィムで 僕の持ってゐる ヴァニラ味のアイスとは 似てもにつかぬ 代物なのだと 同じアイスクリィム 同じ日差しの中で ぽとぽとと溶け出していた 真夏の僕らの 陽炎 同じ店で売られ 同じ日に買われていった けれど 違う あの子が欲しいのは チョコレヰトのアイス ヴァニラでも カラメルでもない 他ならぬ チョコレヰトのアイスクリィム その涙の中に 僕はなれない あの笑顔の糧に 僕はなれない 腕を伝う甘い雫に蟻が群れる 泣いていたあの子は 母親に宥め 諭されて ぐずぐずと去っていった 途中僕の持つアイスを見て すぐに ぷい と横を向いた 蝉が鳴いていた 時期外れのアイス屋を 眺めながら ふ、と いつまでも来ない友人を 待っていた日を 思い出した |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2015年03月04日(水) 15時08分11秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-13 23:40 ID:Yf0lw6kd58E | |||||
A様 コメント感謝致します。 夏独特の、思い出の中の方が美しく鮮やかな部分を思い描きました。 何でもないことほど、不意に思い出した時が鮮烈に見えるものです。 そんなふうなことが伝わったのであれば、幸いです。 ありがとうございました。 |
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No.3 A 評価:40点 ■2015-03-12 04:37 ID:pA0QzJ9KbiA | |||||
拝読させていただきました。夏の一場面がリアルに立ち上がって、まるで僕もそこにいるような気がして、独特の空気感に浸ってしまいました。最後の「時期外れのアイス屋を/眺めながら ふ、と/いつまでも来ない友人を/待っていた日を 思い出した」の四行がこの空気感にぴたりと合っていて、抑制のきいた悲しさ、切なさ、そして、あの頃(?)からは離れているのに、そこに留まり続けているいわく言いがたい感情を感じました。いいですね。 | |||||
No.2 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-03-06 00:17 ID:rPxa5lSsCR. | |||||
たぱたぱ 様 コメント感謝致します。初めまして。 まだ程遠いですが、真夏の炎天下にアイスクリームの屋台の前を通りがかった時を想像して書きました。 蒸し暑くて、人がたくさんいて、なのにどこか切なく物悲しい。 寒い日が続いて、ふと思い出す夏の匂いの何とリアルなことでしょう。 俺は年中、食べたいと思うとすぐアイス食べる人です(笑) 抹茶ももちろん大好きです。 ありがとうございました。 |
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No.1 たぱたぱ 評価:40点 ■2015-03-05 00:14 ID:BymBLCyvz/o | |||||
暑い、暑い夏の日の風景を思い起こすようでした。 夏特有の、胸をチリチリと焦がすような切なさを感じました。 時期は少し早いですが、アイスクリームいいですよね。読んでいて食べくなりました。 因みにわたしは抹茶味が好きです。 |
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総レス数 4 合計 80点 |
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