雨庭草紙 |
折りかけの千代紙 作りかけの絵手紙 待ちわびる濡れ縁に 氷雨が滴り落ちる 忘れかけた傷を掘り返し 掘り返し 消えかけた幻想を 追いかけて 終えなくて まだ咲かない白梅の枝を 意味もなく眺める夕刻 貴方の顔が浮かんでは砕ける 砕けて、鮮やかに瞼に焼きつく 笑顔 苦しくて 死にたくなる ふ、と 雨垂れが戸を穿つ 古いカメラのフィルムのようで 忘れられたのかしら、と 思い出は秘密箱の中に 手紙をしたためる前に そっ と 千代の花を眺める 決して散らない 枯れることの無い花弁 紙切りの小刀に 紅と黄色の 矢絣 市松 もう 思い出せない 記憶の欠片のよう いつまでも待ち焦がれる この庭の隅で 明日もきっと 雨が降る |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2015年02月14日(土) 19時02分21秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.3 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2015-02-26 14:27 ID:JKJhpfcSXKQ | |||||
遅れてしまい大変申し訳ありません。今さらと思われるかもしれませんがお返事致します。 游月 昭 様 コメント感謝致します。 一旦言葉を区切ったのは、そっちのが重なりに重みが出るかな、と思ったからです。 気持ち区切り無視で、というのだったのですが、少し個人差があったやもしれないですね。 「千代の花」というのは、なんというか、「千代紙で折った花」という意味の中に、「(千代=千年)枯れない想い」とか「庭の花とは違って枯れない紙の花」とかそんなニュアンスだったのですが……わかりにくかったでしょうか。。。 二月の庭は、梅など無いとひたすらに寂しいものです。雨が降るだけでもだいぶ違ってきます。 梅は植えっぱなしでも結構保つらしいので、買おうか否か検討中です。 寒いですがもうすぐ春と信じています。ありがとうございました。 陽炎 様 コメント感謝致します。 誰も来ない、訪れの無い集落の隅の屋敷の庭を目指しました。 縁に面した部屋の文机で、ぼんやり千代紙を折り、絵手紙に絵の具を伸ばしながら、ふと懐かしい人の顔が思い浮かぶ。 けれどすぐに、砕け散ってわからなくなる。 「また来るから」の声はずいぶん昔のことのようで、水彩絵の具のように滲んで消えてしまう……。 秘密箱の下り、陽炎さんに指摘される前から気になっていたので、これを期に修正してみました。 言葉のダブりは詩を書く上では大事です、気にかけなければ。 そろそろ温かくなって欲しいですね。 ありがとうございました。 |
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No.2 游月 昭 評価:40点 ■2015-02-18 14:25 ID:/qwab7is9JQ | |||||
こんにちは。 綺麗だな。憧れる感じ!前半が特に。 砕ける/砕けて、 と一旦切ってしまったところに連鎖の感じが無くなって私は疑問符。 紙切りの小刀に/紅を咲かせながら そこに和紙があるともっと雅 って言うか、千代って千代紙? 千代紙とは離した方が良さそう 憧れちゃった(^^;; |
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No.1 陽炎 評価:30点 ■2015-02-17 18:02 ID:OJmj6OeLU/s | |||||
とても古風な感じのする詩だな、と思いました 雨どいから滴り落ちる氷雨を目で見、 耳で聞きながら絵手紙を描いたり 折り紙をしたりしている絵が浮かんできます >貴方の顔が浮かんでは砕ける この「砕ける」って表現、いいですね 「浮かんでは消える」といってしまいそうですけど 「砕ける」壊れることによって 貴方の印象をより強いものにしている そんなふうに思いました 小さいところで気になったことと云えば >思い出は秘密箱の中に/そっと仕舞い込んだ 仕舞うということは、自ずと箱の中と解るので ここは「秘密の箱に」とかでもよかったかもしれません あくまで、私個人的な意見なので 「ふ〜ん、そうかい」くらいに思ってもらえたら幸いです 今日は雪が舞ったせいか とても冷え込んでます こんなときはあったかいスープでも飲んで ぬくぬくしていたいものです |
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総レス数 3 合計 70点 |
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