折り |
半透明の紙を両手で持ち 川辺の風景を透かし見ていた そうして待っていれば 何か決定的なものを透かし見る事が出来ると信じていたが 午後二時を過ぎて木枯らしが吹いた時 抓んだ指先の辺りから滲み出した白色が急に全面に広がって つまらなく思った僕は白紙を川に捨てた 白紙はすぐに川に溶けた のっぺらぼうの話のように 僕は何度でも何者でもない「私」と再会する つるつるした顔に脅かされ抱えていたものを落とすと 迷路が突如現われる 僕は仕方なく真っ白な壁の間を歩き出す この迷路をこれまで何度となく彷徨い歩いたが その途中誰かに出会った事も、出口を見つけた事もない 右手をペンを持つ形にして 餌を啄ばむ白鷺のように肘から先を前後に動かしながら街を歩く 親指と人差し指、中指の触れ合う場所に生まれた小さな空隙に 頭に浮遊する図式も胸に渦巻く感情も含めて何もかも呑みこませてしまいたい 目に見えない「私」の一字が刻印されたあの紙さえも そして吐き出させるのだ、 炸裂したイメージの破片を貫き連ねる、閃く線を 午後五時過ぎ、再び訪れた川辺で 黒から紺青へのグラデーションに染められた幕を引き下ろす入り日の放つ眩い光が 影絵のような一本の桜木を透かして葉の輪郭を静かに燃やしていた 葉のざわめく音を聞きながら、小さなときめきに身を任せ 無言で立ちつくす「私」を避けて水面に近付き 飛び立つ白鷺を目で追いつつ、しゃがみ込んで 徐に空隙を流れに浸し、そっと目を閉じた |
A
2014年11月23日(日) 04時58分11秒 公開 ■この作品の著作権はAさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 A 評価:0点 ■2014-11-26 20:32 ID:pA0QzJ9KbiA | |||||
游月 昭さん ご感想ありがとうございます。 僕なりの「詩の作り方」を探りながら書いてみました。折り紙を折るのだが、折れ線にペンで色を塗って、折り方が分かるように順番を印して折るというような…面白いと言って頂けて嬉しいです。 |
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No.1 游月 昭 評価:50点 ■2014-11-25 20:24 ID:qx2ygamosbQ | |||||
Aさんこんばんは。 読みました! 読むの遅いので、出だしを読んで面白くなさそうと思ってほったらかしてましたが、全部読んでみると面白かったです。 初連と三連の出だしの表現が、私にとってはイマイチでした。「〜の作り方」みたいな文に感じて。出だしは ≫川辺の風景をパラフィン紙に透かして見ていた みたいな感じじゃダメですか? 全く同じイメージで説明的でもなくなるし。 三連も「〜形にして」「〜ように」 ってくどい言い回しのような。 表面的に変なところはそこだけで、 他は面白い表現だなーと思いました。 おそらく自分という人間は何者なのか、という感じが一つのテーマだろうと思います。 初連でそれを試みる。 詩のように、要らないものを削ぎ落とした姿を求める。半透明というのは景色を略して見せる。それでゴチャゴチャあるものをふるいにかけて見つけようとする。 ところが何も見えなくなる。 二連へと移り、 真っ白は、真っ黒と同じで何も映していない。足掛かりが無く、彷徨い続ける。 三連は難しいです。 どこまで拾って良いものか。 ペンで印をつけ、一つ一つ摘んで、圧縮して、解き放ってバラバラにしてみる。 するとラインが見えるかもしれない。 最終連は更に難しいです。 二行目は長いですね、光の説明。 どう解釈すれば良いのか、ハレーションを起こすような樹を包み込む光。 そのことは先ほどまでの「私」を置いてけぼりにする程のものであったのか。 つまりそれが「答え」なのか、 ゆっくりと問いかけを水に溶かしていく。 こんな詩を読みますと、あいた〜私にとってまだまだ詩は遠いものだなぁ(詠嘆) 濃かったです。詩作の糧とさせて頂きます。 ありがとうございました。 |
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総レス数 2 合計 50点 |
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