晴天下
爽やかな風が、青田を駆け抜ける
秋の気配を にじませた音と空気が
私の身体を透過した
夏の太陽が遠慮なく照りつけるなか
この空間だけは、やけに涼しげである

生き生きとした雑草を抜き、墓石を磨き
先祖に報告を済ませ
ほぅっと息をついた
首筋を彩る汗に線香の煙が仄かに溶け込む
私もいずれは、此処に入るのか

みずみずしく輝く、斑な石
想いに応え 揺れる花
私は墓参りが好きだった
晴れやかな気持ちになれる
清純な心が、宿る気がする

頬を綻ばせ、深呼吸を一つ
私は来たときとは違う道を選びながら
自分の墓を後にした
ヤエ
2014年08月11日(月) 09時28分43秒 公開
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■作者からのメッセージ
最近、迷走してる気が……
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No.18  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-23 09:59  ID:L6TukelU0BA
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うんこ太郎さん
はじめまして。
嬉しいコメントをありがとうございます。
また良い詩が書けるように、挑戦します。
No.17  うんこ太郎  評価:40点  ■2014-08-21 23:39  ID:E7uzkT6EwEo
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いい詩だと思いました!
会社に行く朝に読んで、ほうっと息がでて、自分の生活をしずかに振り返りました。
いい詩を読んだときの、いい瞬間がありました。
No.16  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-13 17:42  ID:L6TukelU0BA
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お試しさん

はじめまして。読んで頂きありがとうございます。
仰る通り、これは実体験+随想で構成されている詩です。私の書くものの殆どは、こういう構成です。よく素直とは言って貰えるのですが、私自身も「ひねり」が足りないかとも思っているので、成長していきたいです。

さて、稀有な視点。確かに私に足りないものかも知れません。あるいは、感じたことに対してもう一歩踏み込んで考えてみることが必要なのでしょう。

>お盆にかえってきた魂が墓参りしている詩にしてみたり。
実は、この詩を読んで貰う方々に一つの見方として、「そういう詩なのでは」と思って頂くことも目標にしていました。
さりげなさ過ぎて失敗だったかも知れませんが。

困難な作業、やってみようと思います。ここに載せるかは分かりませんが。
為になるアドバイスをありがとうございました。
精進します。
No.15  お試しさん  評価:40点  ■2014-08-13 16:38  ID:9h6qp5PumAE
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実に真面目につくっていていい作品ですね。
成熟している、落ち着いている、そういうものは最後まで気持ちよく読めます。これは実体験+随想で構成されている素直な詩と考えていいのでしょうか? 実に素直ですね。素直すぎるほど。
いや、賢治先生の『永訣の朝』もそういう「つくり」だろといわれればそうなんですが、ひねくれ者にはちょっと物足りない。

二つの方向がみえてきます。
体験をモチーフにした詩のなかで秀でた詩っていうのは、体験+稀有な視点なんだと思います。ちょっと簡単にわりきりましたけど。
御作はじつに普遍的で平凡(よい意味)で共感を呼びやすい体験をモチーフに選んでいます。
詩になる体験ってのは選択肢はひろいのだと思います。自分が詩的だと信じられるのであれば極論なんでもいい。なにも『永訣の朝』みたいに稀有な場面だけが詩になるわけじゃないですね。
で、この詩は前述しましたように共感を呼びやすいよいモチーフを選んでいるわけです。これは真面目とか誠実とかいう評価に換言できるかとおもいます。(近頃こういう誠実さをもたない現代詩、氾濫していますね)
ですからモチーフはクリアしている。
あとは稀有な視点ってところでの勝負になるのでしょう。
この詩はどうでしょう。みていくと、
一連二連のなかでちょっと視点にオリジナリティがあるかなって行は
「首筋を彩る汗に線香の煙が仄かに溶け込む」
これくらいかな思います。あとは誰もが感じて文章化できる文言ですから。
ただし「私もいずれは、此処に入るのか」こういう文言、誰もが感じるとはいえ、素直で誠実でありふれている文言だからこそ光るところもあります。

3連4連について。
下に述べる部分以外はありふれた文言で構成されています。
「私は来たときとは違う道を選びながら」
ここは独自で稀有な視点とはいえないけれど、この言葉を採択するってところがセンスありますねってところでしょうか。
「自分の墓を後にした」
さて最後の行ですが、ここにはオリジナリティが高く、稀有な視点ってやつの萌芽がみてとれます。
ひねくれた人間ならここを活かすでしょうね。非常に困難な作業でしょうが、ここから出発して新たな物語をつくってもいい。
たとえばお盆にかえってきた魂が墓参りしている詩にしてみたり。
非常に困難な作業ですが(大事な事なので2度いいました笑い)。

多くの優れた詩人たちは、こういう素直なモチーフからいま一歩踏込んで、誰もかいたことのないような作品に挑戦しているように思います。(だから必然的に長編詩になったりするんですよね)

No.14  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-13 09:34  ID:L6TukelU0BA
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アカショウビンさん
好みと言って頂けて嬉しいです。
映像が浮かぶようにというのは、今回意識したことでもあるので良かったです。
まだまだ作風が安定しないので、期待に添えるかは分かりませんが、
これからも暖かく見守って頂けると幸いです。
No.13  アカショウビン  評価:50点  ■2014-08-12 21:21  ID:3.rK8dssdKA
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 読ませていただきました。

 いいですね。飾らないでいて、裏の(?)血の繋がりが少しほほえましくて、しかも重厚感を感じる素敵な詩でした。
 好みです。
 まるでイラストが浮かぶようです。僕は個人的に絵が浮かぶような作品は良作だと思っているのですが、素人判断なので当てにしないでください。
 
 次作もこっそり期待しています。
No.12  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-12 20:18  ID:L6TukelU0BA
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逃げ腰さん
ありがとうございます。
探してみますね!
そのショックすらも糧にして見せる意気込みで挑みます。
No.11  逃げ腰  評価:0点  ■2014-08-12 19:38  ID:giiXyzDzOhw
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いえいえ、プロの顔でいてください。
理論者の著者でしたら「 安藤 靖彦 」という人を探して見てください。
忠告しときますが、レベルの高さと見識の広さに創作辞めたくなりますよ?
気をつけて下さい。僕は今でもトラウマです。
No.10  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-12 15:37  ID:L6TukelU0BA
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逃げ腰さん

そんなつもりは無かったんですがね。
確かに、書いていけばいづれ落ち着くかも知れません。書き始めたばかりですから。

アドバイスありがとうございます。
勇気付けられました!

無知で恥ずかしいのですが、理論書とはどういったものでしょう。お勧め はありますか?

暗唱出来るくらい好きな詩はいくつかあります。
レモン哀歌や 骨 、こだまでしょうか
などです。
しかし逆に言うと、それらの教科書で出てくるもの位しか呼んだことがありません。
他の方の作品にもっと触れるべきなのかも知れませんね。

本当、お世話になります。
改めて、ありがとうございました。
No.9  逃げ腰  評価:0点  ■2014-08-12 12:26  ID:j.IsO/gOFss
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ヤエさんへ

あなたはプロみたいなことを仰るw
正直答えとしては『書く!』と答えるのが正解ですが、長々と戯言を並べようと思います。


>>詩を書く際、これ!といった単語が思い浮かばず妥協してしまいそうになるのです。まぁ、語彙不足ですが。

まず語彙不足ではありません。もち札が増えたように思います。
だからこそ、疑心暗鬼になるのだと思います。
次に、順番も大切ですね。

仕事とあたしどっちが大切?と聞かれて

「仕事が大切なのはお前を守るためだ」
「お前を守るために仕事が大切なんだ」

力点変わりますからね。

また、伝えたいことがわからなくなる。ですが、それは仕方ないことです。
実は文章は一文一文は単一の意味ですが、組み合わさると別のものになります。実は当たり前のことなんですが気づかれることはありません。これも仕方ないこと。

「順序」と「伝えたいこと」に関するアドバイスはできません。


しかし最後に、詩の題材と文体に関しては答えることができるのではないかと思います。
詩の題材は、そうですね、一週間ルール(破れという意味ではないですよ)や自身にノルマを課す必要はありません。ゆっくり探せばよいと思います。

文体に関して言えば、そろそろ理論書を読む時期だと思います。
ここでアリストテレスの『詩学』など読まないでくださいね…。
もう多分それ訓詁学の世界になりますから…。
あと現代思想も駄目です。ややこしくなるだけで質が落ちます(経験談)

書の著者を確認した上で読みたい文章だと思ったら、何十回も読みましょう。
それも暗唱できるくらいに。メモもたくさんとってください。
一度その人のやり方を真似ましょう。

おしゃべりが過ぎました。良き詩を!
No.8  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-12 11:25  ID:L6TukelU0BA
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游月さん
こんにちは!

気付いて頂けて嬉しいです!
おっしゃる通りこの詩は生と死が交差しているのです。

見る人によって、墓石と化した自分が過去の(墓参りをしている)自分を見ている、もしくは再現している様にも感じて貰えるのでは、と少し期待していました。

ちなみに、私の家では家族の墓に自分も入ることもあるので、墓参りの際(いつか此処に入るのかなぁ)なんて思ったりします笑
未来の住居でもあるのですよね。

読んでいただき、ありがとうございます。
No.7  游月 昭  評価:50点  ■2014-08-12 11:13  ID:2un0QyHxhs2
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にゃぁ〜、イミシンな詩です。
おはようございます!

生きている間に「私」の墓を立てたともとれますが、ただそれだけじゃなさそうです。


>/音と空気が/私の身体を透過した
>首筋を彩る汗に線香の煙が仄かに溶け込む

これらの部分、墓石と化している。
実際に死んではいないことを詩文中で示してはいますが、
ラストが風に見える。

生と死の境目が少し曖昧になっていて、面白い詩だなあと思いました。

ちょっと前の游月なら見過ごしているでしょう。

外連味(けれんみ)を抑えた詩、
大変勉強になりました。
No.6  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-12 07:18  ID:L6TukelU0BA
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逃げ腰さん
コメントありがとうございました。
反面教師だなんてとんでもない。色々学ばせて貰います。
良い詩だと言って頂けて嬉しいです。救われます。

お言葉に甘えて、悩んでることを書かせてもら会います。
詩を書く際、これ!といった単語が思い浮かばず妥協してしまいそうになるのです。まぁ、語彙不足ですが。
結果表現が迷走 します。
更に順番はこれでいいのか、伝えられているか、くどくないか、など色々と考えていると
自分の表現したいものが分からなくなってくるのです。
どれを一番伝えたかったのか、忘れそうになります。
詩の題材や文体が安定しないとも思っています。

何かよい方法はありますかね。
お心遣い感謝します。
No.5  ヤエ  評価:0点  ■2014-08-12 07:07  ID:L6TukelU0BA
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Aさん
読んで頂きありがとうございます。

確かに、これは私自身が墓参りで感じたことを書き込んだものです。情景が浮かべば良いのですが。共感して貰えたなら幸いです。やはり人の感覚は通じるところがあるのですね。

私にとっての「お墓」については大方仰ってくださった通りです。驚きました。それと同時に、この詩では「お墓参り」という行為に心を浄化する不思議な力があるような気がして、それを描いたつもりです。

>「お墓」と「言葉」って、似てると思いませんか。
そうですね、魂が宿るという点。見えないなにかをも表せる点等にているかもしれません。「私」にとって言葉とは何なのか、なるほど、そういう見方もあるのですね。私のの言葉(詩)との関係を描いているとするならば、この詩の中で両方生きている者が出来ることで、心を送る、死んでからは送られる立場にあるということも描くことが出来ていたら良かったかも知れません。

さて、私もこの詩を「言葉について」に置き換えます。

>ヤエさんが詩を読む事、詩を作る事に求めていたのは、詩を通じて「晴れやかな気持ちになれる」事、「清純な心が、宿る」事だったのではないでしょうか。
こちらについてはまだ自分でも不明ですが、
>「私」は、「先祖」に「報告」をする
に関しては、先祖は確かに漠然とした「命の繋がり」を指していると思います。その感覚が晴れやかかどうかは分かりませんが、「命や感覚の繋がり」に寄りかかって、思ったことや感じたことを報告=伝えるのが、私にとっての詩なのかもしれません。

どちらの道をも歩み得る「私」。分岐点で分かれたのかも知れませんね。あるいは、それが成長の話かもしれません。
まぁ、墓参りとしてみると、これは単に昔から親に「来たときと同じ道を通ってはいけない」と理由なしに教えられたからですが 。

こうして考えると面白いですね。一度作品を見直してみるのも大切かもしれない。
色々と試してみるので、これからも気にしてもらえると嬉しいです。

ありがとうございました。
No.4  逃げ腰  評価:50点  ■2014-08-11 16:09  ID:dqDbJePQeHI
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ヤエさんへ
僕なんてずっと迷走してますよ笑。反面教師にしてください。
とても良い詩だと思います。すくなくとも僕にはこんなに晴れやかには書けない。
色々と歪みを入れてしまいます。それこれ菊地さんがおっしゃる通りのことだと思います。
数度言葉をかわしただけでひとの悩みや考え方など変えることなどできないのは重々承知ですが、如何にお悩みなのか聞かせて貰っても良いですか?

もし漠然としているなら言葉に還元してゆく作業も良いと考えています。とてもしんどい作業です。ゆっくりで構いません。
No.3  A  評価:20点  ■2014-08-11 16:24  ID:BymBLCyvz/o
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拝読させて頂きました。

ヤエさんご自身のお墓参りの実体験が詩に書き込まれているのだと思います。そう言えば、僕も夏のお墓参りの際には(こんな体験したなぁ)と思い出し、共感するところが多かったです。

さて。この詩で問題になっているのは、「私」にとってお墓とは何なのか、という事ではないでしょうか。「私」にとってお墓とは、ご先祖様の魂が宿る場所であり、お墓を通して、「私」は自分の事をご先祖様に報告する事が出来る。また、いつか自分も入る場所であり、その時には、「私」のように、こうして参ってくれる縁者の報告をお墓の中から聞く事になるのかもしれない…

ところで、唐突ですが、「お墓」と「言葉」って、似てると思いませんか。どこが似てるのかは考えて頂く事にして、取り敢えず似ているものとして、お墓を言葉に置き換えてみます。すると、先ほどの問題は、「私」にとって言葉とは何なのか、という問題になります。なぜ、こんな置き換えをするかというと、この作品は「私」のお墓参りを描いていると同時に、ヤエさんの言葉(詩)との関係を描いているようにも読めるからです。

実は、ヤエさんが詩を読む事、詩を作る事に求めていたのは、詩を通じて「晴れやかな気持ちになれる」事、「清純な心が、宿る」事だったのではないでしょうか。「私」は、「先祖」に「報告」をする訳ですが、「先祖」って、一体、誰なんでしょう?お墓にお骨が収まっている人達も「先祖」ですが、「私」が「報告」をする「先祖」って、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんのような「私」に生々しい思い出のある人というよりも、「私」は直接知らないけれど血の繋がった人、くらいのイメージではないでしょうか?このイメージをどんどん広げていくと、何か漠然とした命の繋がりのようなものがイメージ出来ませんか?そして、そのイメージを指して「私」は「先祖」と言っているのではないかと思います。おそらく、「先祖」とは「命の繋がり」を指しています。「命の繋がり」の感覚が「晴れやかさ」なのではないかと僕は思います。お墓はその象徴ですが、それは言葉も同じ、という見方はあり得ると思います。

「来た時の道」は「命の繋がり」を知らなかった「私」の道、「来た時とは違う道」は「命の繋がり」を知った「私」の道ではないでしょうか。ここで、不思議なのは、どちらの道をも歩み得る「私」とは何なのかという謎です。今回、「身体」というキーワードが出ました。これは、これまでの詩では十分に書かれていなかった要素ではないかと思います。こういった変化を踏まえて、色々と疑問を持ちながらお書きになると、詩作も面白くなるのではないでしょうか。書き込みが不十分、という以前に意味不明な感想になってるかもしれません(笑)が、お許しください。
No.2  ヤエ  評価:--点  ■2014-08-11 10:50  ID:L6TukelU0BA
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菊池さん
おはようございます。
共感を感じてもらえて嬉しいです。
描きすぎず、しかし伝わるように、言葉を選ぶ。
単純に見えてとても難しいですよね。
心のままに、あることを唯あるように。私の見た世界を伝えていけたら……と思います。
少し助けられました。
コメント、本当にありがとうございます。
No.1  菊池清美違う道を選びながら  評価:50点  ■2014-08-11 10:43  ID:Y5z8Yaj/4DM
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ヤエさんお早う御座います。

墓参り、夏の一族の大イベントですね、おめかしをして神妙に皆で出掛ける…子供心に華やいだ記憶…好きですよ。
遠くの親戚や従兄弟が集まる一年に一度の機会…楽しかったですねとてもタイムリーな題材です。
<私もいずれは、此処に入るのか
<清純な心が、宿る気がする
<違う道を選びながら
この言葉達に共感を覚えます^^。

迷走…複雑な心をどう判り易く表現したかが問われるのが詩と思います。
言葉自体には何の魅力も有りません、心が宿る時感動すると思います。

正味の心より大きく見せようとするなら詐欺に近く読者は騙されたりしません。
素直に書いて行く事で歪まず成長するでしょう。
  
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