部屋
冷たい雀を両手にのせて、実家の庭に一人で突っ立っている夢を見た
目を覚ますと、少し肌寒い朝、外は薄暗く小雨が降っていた
ベッドから抜け出して壁に背中を寄せ、手足をだらりと伸ばしてうつむいたまま
目をつむり、しばらくの間、胸の辺りの小さな鈍い痛みを確かめてみた
柔らかな音楽をかけようとして、やめた
何度も読み返した本を手にとって、すぐに本棚に戻した
ゴミ回収の日だ、と立ち上がろうとして、腕を枕に床にうつ伏せになった
そうして胸の辺りの痛みを確かめている内に
カーペットの届かないフローリングに、ほこりが溜まっているのを見た
仰向けになり天井の丸い蛍光灯に目をやると、虫の死骸の影が点々と見えた
半身起こしてから、カーテンの向こう、ベランダの間近をカラスが羽音を立てて急降下するのを見た
けれども、それらは僕の探しているものではなかった
一体、僕は何を探しているのだろうと問いかけると
ふと何かを懐かしむような感情を抱くと同時に胸の辺りで瞬間鋭い痛みを感じたので
思わず呼吸を止めて、両手で顔を覆い、耳を澄ませば
ロウソクの燃える音に似た静けさが小雨の騒がしさの隙間を満たしているのがわかった
A
2014年05月26日(月) 01時54分08秒 公開
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No.4  A  評価:--点  ■2014-05-28 17:02  ID:pA0QzJ9KbiA
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楠山歳幸さん

ご感想ありがとうございます。

>鋭い痛みが身体の痛みと読んでしまいました。その通りかもしれませんが。

その通りです。

>少し気になったのは游月さんの感想の通り、説明的な所でした。

ご指摘ありがとうございます。
No.3  楠山歳幸  評価:40点  ■2014-05-27 19:49  ID:3.rK8dssdKA
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 初めまして。読ませていただきました。

 描写が良かったです。
 語り手の倦怠感を感じました。そんな感じの雰囲気が出ていると思います。
 最後の一文が、それでも生きている、みたいに感じました。

 描写が良かったため鋭い痛みが身体の痛みと読んでしまいました。その通りかもしれませんが。
 少し気になったのは游月さんの感想の通り、説明的な所でした。
No.2  A  評価:--点  ■2014-05-27 10:48  ID:pA0QzJ9KbiA
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游月 昭さん

ご感想ありがとうございます。

>もしかしたら、女性は面白いと思わないかもしれない

実際女性に感想をお聞きしたいものです(笑)

>少し説明的過ぎるので、もっと簡潔に

なるほど。確かに、最後数行書いて、ちょっとくどいかな、とは思いました。もっと格好良く書けたらいいんですが…
No.1  游月 昭  評価:40点  ■2014-05-26 17:57  ID:C0zE4MTHbTo
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こんにちは!

語り手のちょっとした気持ち、体の小さな動き、視線の先などの描写が坦々と。
何故か面白いです。もしかしたら、女性は面白いと思わないかもしれない。小動物が動いているのを見るのって、男性の方が好きなんですよね。だから熱帯魚屋さんの客は男ばかり。おそらく古くは、狩りをするのが男の役目だったからでしょうね。

内容的には、ほんの少し匂わせているだけなので、それを懸命に手繰ったところで、特別な事は何も出て来ないのでしょうが、命についての寂寥感といったものにどんよりと包まれている感じですね。

少し説明的過ぎるので、もっと簡潔に伝えられるような表現をみつけることがこの詩の課題のように思えました。
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