LIFE
いつもの駅で流れてた 列車遅延のアナウンス
人身事故があったらしい 心のこもってないお詫び
命について考えた それを言葉にしたためた
ネットのページに書き込んだ 誰かがクリックして読んだ

パクリにならない程度なら 平気だろうと歌にした
駅前で弾き語ってると ポツポツと雨が降ってきた
スーツを着た女子大生が ビニール傘を差し出した
コンビニまで並んで歩く お礼を言って「じゃあ、またね」

また通知が送られてきた 『残念ながら今回は――』
生きてる意味って何だろう あの歌を口ずさんでいた
翌日美容院へ行った 10センチぐらいカットした
「失恋でもしたの?」と聞かれ 笑顔浮かべて首を振った

閉店時間の7時過ぎ 床に散らばる髪の毛を
箒で掃いていたその時 携帯電話が鳴り響く
波にさらわれて消えてった 父の遺品が見つかった
仙台に住む母の知らせ 「行ってあげて」と言う同僚

二年振りの再会を 息子は喜べずに泣いた
私は一言こう言った 「帰ってきてくれてよかった」
隣に住んでいる親子が 菓子折りを持って訪れた
高校生になる娘は 看護師を目指しているらしい

三学期が始まる前に 引っ越しすることが決まった
友達との別れに泣いて 新生活が始まった
転入して初めての日に 担任の先生が言った
「みんなに自己紹介をしよう」 爽やかな声でそう言った

宮城からの転校生は 震災の事を話してた
教師として何が出来るか 問われているのだと感じた
帰りに立ち寄った書店で 専門書を数冊買った
レジを打ってた店員が 「教師の方ですか?」と言った

バイトがもうすぐ終わる頃 本を買いに来たその人は
私が目指してもがいてる 仕事をしている人だった
店先で待っていてくれた 色々アドバイスを聞いた
女心の事を聞かれ 私も色々と答えた

採用通知がやってきた 記念に髪を少し染めた
「いいことあったの?」と訊かれて 私は笑ってうなづいた
「実は俺にもあったんだ」 彼も笑ってそう言った
聞き覚えのあるイントロが 有線放送で流れた

4年付き合った彼女と 結婚して数カ月後に
もうすぐ生まれると聞かされ 店を飛び出して走った
ベッドで寝息を立てている 我が子をそっと手渡した
ナース服を着たその人は 「お久しぶりです」と笑った

生まれてきてくれてありがとう 誰もが誰かにそう思う
気にも留めない偶然が 誰かの歯車を動かす
気まぐれに起こす行動が 今度は誰と繋がるだろう
思いも寄らないところから 今日も奇跡が起きている
TAKE
2013年04月07日(日) 18時12分20秒 公開
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