透明アクアリウム |
金魚鉢に手を伸ばして 青いその縁に触って ああ冷たいなってただ 他人事みたいになって あの夏の祭りの日 君が掬った奴だ 紅いヒレ 可愛いなとかって言って 先走って駒下駄 カラコロ あの日もいい天気でしたね 青い色水こぼした画用紙色 嫌いになりそうなくらい 綺麗だったこと 今も鮮明ですよ ×××× いつまで経っても 変わらない 君がこの場所に いないこと お変わりないですか あの夏と 君の横顔を見て 見れないや 君に 君に 君に 言いたかったことも 言えなかったことも まるい硝子の表面見つめ 薄いその裏 水と朱 ただひとつだけなんだって 悲嘆にくれたふりしてさ あの夏祭りの昼 君が救った奴だ 紅い帯 最悪だなとかって言って ひとり勝手に アイロニ 今日もいい天気ですよ 埃を払った青い色紙色 忘れたくなるほど 綺麗だったこと 今も思い出します ×××× いつまで待っても 変わらない 僕がこの場所に 残ったこと お変わりないですか 今日の日も 僕の手のひらぽつり 空っぽで 僕が 僕が 僕が 忘れてしまうことも 忘れられないことも 君に会いたくて 君に会いたくて 何度もそちらに行こうとしました でも行けなくて 逝けなくて 情けなく思えて仕方がなくなって 君がすくったこの朱を どうしても 置き去りにできなくて いつまで経っても 変わらない 金魚の居場所は ここだけ 変わりゃしないですよ 今日明日も 僕はずっとこの先 いますよ この場所に いつまで待っても 変わらない 君と僕とが いたこと 変わりゃしないですよ あの夢も 君の遺した朱と 一緒に 君と 君と 君と 叶わない願いも 忘れない思いも アクアリウム |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2014年01月22日(水) 00時29分50秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2014-01-22 21:51 ID:uVL4qtmSOOw | |||||
游月 様 コメント誠に感謝致します。 自分で言うのも何ですが、詩を描いている最中は、あまり字の並びとか考えずに、主に内容をああだこうだと練り練りすることが多いので、何故そのポイントで空けたのか、残念ながら俺にもわかりません……。 『すくう』が三種類あるのは、厳密に言うと 掬う→君がポイで掬った 救う→狭い屋台から救った すくう→ポイで掬って屋台から救った ……みたいな感じです。三つ目は前二つの両方の意味で平仮名にしました。かといって、そこまで深い意味でないこともまた事実です。上手く伝わらなかったのは、俺の力不足以外の何物でもありません。 テーマがありふれすぎていたが故の薄味かもしれませんね。 毎回の細やかなご指摘、参考にさせていただいております。 ありがとうございました。 |
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No.3 游月 評価:30点 ■2014-01-22 20:34 ID:C997dWT1qRE | |||||
こんばんは。 ■少し幼さを残すメインの文に少しだけ見える投げやりな語尾。 その内面にこもる、子供のように駄々をこねる繰り返しの文。 その対比が面白いのですが、ちょっと境目の扱いに迷いがあるように思えました。 −−−−−−−−−− 忘れてしまうことも 忘れられないことも [ここ] 君に会いたくて 君に会いたくて −−−−−−−−−− [ここ]の部分を何故こんなにあけてしまったのか。 ■掬う、救う、すくう と、三種類にしてるのには、始めは意味があるのだと思いましたが、無いみたいに思えます。 ただ、救う、という言葉と、 自分がまだ薄っぺらい金魚鉢にいることとの関係が色濃く表現できていれば、 いい作品になりうると感じました。 以上の二点の表現が面白い、 でも、薄味。 と感じました。 |
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No.2 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:0点 ■2014-01-22 19:07 ID:uVL4qtmSOOw | |||||
陽炎 様 コメント誠に感謝致します。お久しぶりです。 色の的を朱と青に絞って描いたので、 >>鮮明に色を感じる ……期待していたコメントがいただけて、きちんと伝わっていて安心しました。また、 >>無色透明というか 色がついていない、ような ……鮮明な無色を作りたかったんです、どちらも。なので、ようなではなくその通りなのです。どうしてこんなに色彩は目立つものなのに、……そう思っていただきたかったんです。 なんか計算高い人みたいですね。 すみません。ありがとうございました。 |
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No.1 陽炎 評価:30点 ■2014-01-22 09:28 ID:eM8nTjX2ERc | |||||
拝読しました ここにはもういない君は もうこの世にはいないってことだったんですね 金魚鉢の中で泳いでる金魚は いつかの夏祭りで、君がすくった (掬った、あるいは救った)金魚で 金魚と僕は、いつまでもここにいるのに この場所にしかいられないのに 君はもうここにはいない 感傷的な気分になるのは あの日と同じ、空が青く広がって 空気がとても澄んでいるから 金魚を「朱」と表現するところとか いいな、と思いました 「朱」は生命の象徴で 青い空は今は亡き人に対する 僕の悲しさ・むなしさ そしてまた、「君」へのせめてもの弔いの色 鮮明に色を感じる詩ですが 僕自身は無色透明というか 色がついていない、ような そんな気も、少ししました |
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総レス数 4 合計 60点 |
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