六花

闇夜を白く塗りつぶす六花

儚く脆い結晶がこの世で息づくけど

骨折する無音の悲鳴

もう、聞きたくはない

痛々しい体を横たえ白く積もる

渾身のクリスタルボイスで夜明けを歌い

束の間の輝きに命をすり減らす

白い水平線に堕ちる流星に

願いをかけてしまったことを

少し後悔しながら

パチパチッと爆ぜる薪の炎に

体の芯を抜かれてゆく

炎が記憶を食べながら怪訝な顔つきをする

何か言いたそうな面持ちで舌を鳴らす

もう何のことやら

睡魔の言いなりになってしまって

すでに燻製になって眠りにつく犬の傍に

倒れこむ

香ばしくどこか懐かしい焚火の匂いが

窓の隙間から訪れていた

胸の冷蔵庫の立花が溶け出すと

わたしは安堵の深いため息をついた

何もかも横たえ燻されてゆくのは気持ちが良い

ただ、背中が少し寒くて

あなたが後ろからそっと抱きしめてくれたら

いいのにと

もう少し

もう少しで

燻製になるのに

青ガラス

2014年01月06日(月) 09時34分22秒公開
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No.10 青ガラス評価：--点 ■2014-01-07 04:13 ID:6Sbbo4.76/Y	PASS 編集削除
音羽さん、ありがとうございます。推敲する前は六花を描いていたんですが何度も書き直しているうちに温もりが欲しくなってしまったようです。去年は氷の世界でしたけど、雪解けが始まったみたいです。お褒めのお言葉ありがとうございます。励みになります。
No.9 青ガラス評価：--点 ■2014-01-07 03:53 ID:6Sbbo4.76/Y	PASS 編集削除
楠山歳幸さん、ありがとうございます。雪国に住んだ事は無いのですが雪の結晶の美しさ、脆さ、しんしんと降り積もる雪景色と部屋の温もりや癒しの空間に自分の気持ちを重ねて見ました。語り口調感じていただき美しさまで、とても嬉しく思います。
No.8 青ガラス評価：--点 ■2014-01-07 03:12 ID:6Sbbo4.76/Y	PASS 編集削除
游月さん、美味しいって言っていただけると幸せです。自己流の手料理で素材もあり合わせ、読んでいただけるだけでも緊張してしまいそうですけど書いて良かったって思いました。游月さんの辛口も好みです。そちらもよろしくです。ありがとうございます。
No.7 青ガラス評価：--点 ■2014-01-07 02:48 ID:6Sbbo4.76/Y	PASS 編集削除
菊池さん、いつもありがとうございます。漢字は憶えたてです！使わないと忘れちゃう、笑。焚き火の香り気がつかないなんて驚きですぅ。くらい好きです。建築材料の木材やゴミは除く、煙の色が黒くて臭いですよね。菊池さんの方が詳しいわけで。自信を持って、ありがとう。ぜんぜんないですけど、読んでいただけるのすごく励みになります。おかげさまで詩作がなんとか続いて、感謝しています。
No.6 音羽評価：40点 ■2014-01-07 01:49 ID:rMAQZW5kXMI	PASS 編集削除
最初は六花の表現で雪の降り積もる空の下を思い浮かべて、薪の炎で初めて室内であることに気が付きました。静かに思いが降り積もって凍る中、あなたの温もりも欲しい。一枚の洋画を思わせる、とても綺麗な詩でした。
No.5 楠山歳幸評価：40点 ■2014-01-07 00:04 ID:3.rK8dssdKA	PASS 編集削除
読ませていただきました。　雪国の夜の部屋のイメージが広がる、美しい詩でした。　六花、燻製、気持ちを固形化しているような素晴らしい表現でした。　イメージに合った静かな語り口がとても良かったです。
No.4 游月評価：50点 ■2014-01-06 21:24 ID:bi3DsvN5XiY	PASS 編集削除
底冷えの反対。端々があったまっているのに中心の欠片は凍ったままで、もうすこし暖まれば些細なことで折れたりしない＞あなたが後ろからそっと抱きしめてくれたら＞燻製になるのに微かな金属音と小さな破裂音白と赤、細い雪の骨と太い薪。美味しく頂戴しました。
No.3 菊池清美評価：50点 ■2014-01-06 21:05 ID:te6yfYFg2XA	PASS 編集削除
六花と書いてりっかと読む、雪の結晶でしょうか。北国に住んでいながら教えられました、今回は難しい漢字を多用していますね。何時ものピュアな感じも捨てがたいが、高みに登った詩も冴えています流石はオールマイテイですね。焚き火の香りに気が付くなんて驚きました、確かに独特の良い香りがします、愛煙家は煙草火にしたがります。他人が見過ごす所に気が着いて巧みに表現するから詩に深みが有ります、何時か拝借したいけど無理ですね。自信を持って思った様に書いて行って下さい。
No.2 青ガラス評価：--点 ■2014-01-06 16:28 ID:6Sbbo4.76/Y	PASS 編集削除
陽炎さん、ありがとうございます。絵画のように感じてくださるのはちょっと儲かった気分でうれしです(^_^) 落ち葉を燃やす焚き火の煙っていい香りで小さな幸せ見つけた感じです。もう少しで、そうなんです何かが燻し出されそうでそんな様子を書いて見ました。
No.1 陽炎評価：40点 ■2014-01-06 13:45 ID:eM8nTjX2ERc	PASS 編集削除
抽象絵画のようでもあり具象のようでもありきらきらしているようで痛々しく震えているようで安堵感もありうまく云えないけどもう少しで燻製になれるのにもう少しで、ってところが印象に残って、いいなと思いました
総レス数 10 　合計 220点

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