或る冬、午前零時の |
今宵 月の出ない師走 その夜 納戸色濃い その部屋は 仄暗い硝子の窓 寂寥 遠い車の明かり 過ぎ去る いつもなら脆弱な無音が 今夜はやたらとうるさくて 床板 ラジオ 空っぽのストーブ 冷えきった午前零時過ぎ 部屋の外の世界 街は 未だ眠りながら 朝を待っている 枕元 机 灯りは点けたくなくて 水槽の魚達も街と同じく 無い瞼を閉じて ゆらり揺蕩う 静寂 虚弱 長針 秒針 何故目を開けてしまったのだろうか 答えは無い いつもと同じ世界の中で いつもと同じ時間の中で いつものように話していたのに 答えは無い 応えは無い 青黒い寝室の隅で 毛布にくるまってそして 泣きもせず 眠りもせず ただひとり 闇を見つめる 早く朝になってくれなど 野暮すぎる祈りはしないけど 指先を突き刺す 蒼い寒気 鈍る痛覚 目を閉じたらまたあの怖ぞ気が そう思うと どうにもこうにも 眠る気になど なれんのです 秒針 短針 脆弱 寂寥 午前零時の根無し草は 他でもない自分です 虚無感 月が無いのでしょう 今夜は 星は出ていますか 硝子の向こうに 冷えきった床板 空っぽのストーブ 嘲笑 『あなたが死ぬ夢を見ました』 目を開けていようか ドアノブ 窓枠 さすれば怖くも何も無い 長針 秒針 目を開けていようか 静寂 寂寥 目の覚めるような静けさが 朝日に壊され溶けるまで |
時雨ノ宮 蜉蝣丸
2013年12月23日(月) 01時33分35秒 公開 ■この作品の著作権は時雨ノ宮 蜉蝣丸さんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.4 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:--点 ■2013-12-24 19:22 ID:1lioPCDY0WM | |||||
游月 様 コメント誠に感謝いたします。 雰囲気が好きと言って頂けてとても嬉しいです。 語尾がいろいろ混じっている、というのは表現上のものです。俺の中では基本、思考思案は常体、語りかけ及び独り言は敬体という分け方をしており、詩中にてそれを何となく悟って頂けたら……とか都合よく考えているせいです。読みにくい等重々承知の上で、その辺も理解して頂ければ有難いです。 また、「〜ってくれ」型にしなかったのは、詩中に「〜祈りはしないけど」と出ているが故、矛盾を防ぐ目的でそうしました。 長々申し訳ありません。ありがとうございました。 |
|||||
No.3 游月 評価:40点 ■2013-12-23 21:43 ID:My7Ye.F7xJg | |||||
こんばんは。 先日読ませていただいた詩と同様に、ものを見据える落ち着いた感じがあり、作者さんの詩の雰囲気は好きです。 語尾が、時々「ですます調」があらわれたり等、統一性に少々問題があるように感じました。 また、「寂寥」の言葉が何度も使われていて、その言葉の価値が薄れ、安売り感が残ります。 並列的な文が出てくるところは、緊迫感が生まれ、メリハリがでていて、面白いですね。【個人的には】、「〜朝になってくれ。」と【一旦】、言いきって欲しかったところです。 自分の詩の形を見つけていらっしゃるので、読者が詩を読み始める際の安心感もプラスに働くとおもいます。 |
|||||
No.2 時雨ノ宮 蜉蝣丸 評価:--点 ■2013-12-23 17:01 ID:1lioPCDY0WM | |||||
陽炎 様 コメント誠に感謝致します。 俺も陽炎さんの詩を読んでいると、表現や発想の違いはあれど、どことなく似ている気がしてくることがあります。ひょっとしたら、お互い考えている事柄が同じなのかもしれませんね。 ここに俺が描いた無音に何を想うのか、それは読み手の方々の自由ですが、それで昨夜の悪夢を思い出させてしまったのであれば申し訳ありません。 ありがとうございました。 |
|||||
No.1 陽炎 評価:30点 ■2013-12-23 09:49 ID:eM8nTjX2ERc | |||||
こんにちは、拝読しました 読んでいて思ったのは 表現は違うけれども どこか私に似てるところがあるなあ ということでした 無音のうるささ 解ります 静かすぎるのってなんというか 心を不安にさせますよね 私はだから、静寂が恐ろしいので 一晩中音楽をかけていることが多いです 悪夢を見ているときって なんだかまるで現実に起こっていることのような気がしてきませんか 夢だと気づいたときにハッとして目が覚めてしまう、というか |
|||||
総レス数 4 合計 70点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス Cookie |