空色玉子(長文)




中身を抜いた
黄色と透明の液体が抜けた

そして残る
以前玉子だった
その楕円

形だけは
前と一緒で
中身がない分
雲みたいに軽い

そんなものに
意味のないものに
水色の絵の具を含ませる

水色の玉子
雲みたいに軽いのに
空みたいな色をしている

手で
空を包んだ

たとえば
もろい幸せが
奇跡的に続いていくとして

僕にはそれを
壊す力があるんだ

でも
そうはしてこなかったんだろう

空色玉子
中身はがらんどう
僕はそれを
手のひらで包んで
ゆっくりと押しつぶす

空がカケラになって
地上に汚らしく散乱した

手には空の色が移って
気味が悪い
だから目をそらすために
握りしめた

次に開いた手は
電話のボタンを押す
11ケタの暗証番号
もしくは
履歴の一番目

2回コールして
声が聞こえた
僕は言う
奇跡的に続いた
もろい幸せを
つぶす言葉
含んで
吐いた
空色玉子

壊れて
ゴミになった
史裕
2013年12月07日(土) 22時49分22秒 公開
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作者からのメッセージはありません。

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No.3  游月  評価:0点  ■2013-12-23 17:49  ID:sm5R9tKqGyk
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あー、なるほど。

謎が解けました。

やっぱり傑作だ。

詩人ですね。

短歌的掛詞と詩的比喩。
No.2  史裕  評価:--点  ■2013-12-22 23:17  ID:hg1O7sEDcQ6
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>游月さん
過分なメッセージありがとうございます。
また読んでいただければ嬉しいです。
ありがとうございました。
No.1  游月  評価:50点  ■2013-12-20 23:41  ID:U.8wHU0Lxcw
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こんばんは。
メッセージがないのが不思議です。

こんなに小さくて儚くて美しくて
いとおしい作品はあまりみないですね


★いみのないものに
★きみがわるい→黄身?


は、ひっかかりましたが

気持ちよく読ませていただきました。
ありがとうございました。
総レス数 3  合計 50

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