対話篇 (月) |
星もない空に 月だけが のうのうと居座っている 暗い空をより暗くする街の光を見下ろしながら 私はおまえと窓際にいる くすんだ窓は靄のように月光を宿している 酒を飲んでいるのだ私たちは 盃を持ち 体をせわしくなく揺らしながら 静かな部屋にあかりは灯っていない 窓枠のまま縁どられた床の真白な表面を おまえは爪先でなぞっている 私はおまえを見つめている 木質の床の黒く目玉のようになった部分に親指を押し当てた時 おまえは小さく欠伸をするのだ 呻くように唇をすぼめて 瞬間 私はおまえの口に盃を捧げるだろう 星のない空に のうのうと居る月が はっきりとうつった 静かなその一杯を おまえが盃をとる ちいさな唇をさらに縮めておまえはその一杯を呑む |
カムサッカ
2013年08月30日(金) 15時21分10秒 公開 ■この作品の著作権はカムサッカさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 カムサッカ 評価:--点 ■2013-09-03 00:47 ID:30GB.9HIXf. | |||||
あ、男の心の中に、とかは考えてませんでした。 女のふてぶてしさを補強するくらいの意味合いです。 語感が気に入ったので使ってしまいました。 |
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No.3 カムサッカ 評価:--点 ■2013-09-03 00:45 ID:30GB.9HIXf. | |||||
SHIRIAIさんへ 高級マンション!たしかに! イメージ的には小高い丘にある古びた一軒家だったんです。それを書いていなかったがために、そんなセレブに…… 瞬間の切れは、男が愛を表す時の緊張感を出したかったんです。その上で場違いな感じがついて来れば、愛を客観的に見た時の滑稽さみたいなものがでるかなあ、と。空振りだったようですが。 倒置については、月を見ながら酒を呑みかわす、というシチュエーションが、漢詩っぽいなあ、と思ったので、文法を崩して翻訳調みたいなものを出そうという試みでした。 個人のこだわりなので、どうということはないのですが…… ご意見、ありがとうございました。 |
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No.2 SHIRIAI 評価:0点 ■2013-09-02 20:35 ID:IIbnOzQ/0rQ | |||||
もしかして、 のうのうと居座っている月の、 のうのうと、は、男の心の中に、で、 月は、 これは、少しだけずらすと涙がちょちょ切れるかも。 もし、そうならば、裏付けがあまりないかな(星とか靄とか)。でもあからさまにするのもどうかと思うし。参考にならなくてすみません。 失礼しました。 (ちょこちょこ継ぎ足し御免あそばせ。あとからあとから見えてくる) |
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No.1 SHIRIAI 評価:20点 ■2013-09-02 14:40 ID:E/uClbJUq.g | |||||
カムサッカさん、こんにちは。 全体の雰囲気がやはりいいですね。 しかし、部屋の景色がぶれてます。 ●詩文の口調は、 高い金を払って予約した高層ホテルの一室から、都会の街をみおろし、不倫相手とワックスのきいたフロアに座り、洋酒をやっている。男は女を見下した感じがある。満天の星と街の夜景を期待していたが、考えてみれば星が見えるはずもなかろう。そんな感じ。でも、 ●描写の字面から実際は、 そう家賃の高くないアパートの節くれだった床に、妻がべったり座り、日本酒に酔いどれて「プーッ」なんて声を発している感じ。 面白いのは、女の描写は肩から頭、指先までなのに、細い体をくねらせて悦に入る姿が見えること。文脈がそうさせているのでしょう。 ●意味不明なのは、 >瞬間 →で、ぶっつり切るほどの事かな? >酒を飲んでいるのだ私たちは →の倒置は、 >>私たちが酒を飲んでいるのだ 的強調で、詩文の二つのイメージのどちらにも合わない。 また、なぜ、 ☆月がのうのうと居座っていることにこだわり、二度も出てくるのかということ。 そんなに意味は無さそうなんですが。 という訳で、流れるアダルトな空気と、見える生活臭と、のうのうと居座る月の三者が繋がりにくくなっている。 という風に見えました。 でも面白い事が不思議。そんなカムサッカさんの詩文の雰囲気でした。 ありがとうございました。 |
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総レス数 4 合計 20点 |
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