真夜中の迷子 |
ゆるやかなかたちをした盆の夜に 引き離された電信柱は ふるえる蝉の叫びを聞きつつ ただひとり とーん と、立っているのであります。 向こうの小路の小さな光は いったいどいつのあかりであろか 白々とした夜の田園に 取り残されたビニル案山子は 遠目に蛍の灯りを眺めて ただひとり すん と、うつむいているのであります。 森の向こうでごうとなくのは かぜであろうか、それともやはり トラクターが走り去る コンクリートがなめらかな体を固め 石油の流れが膜をはりつめ やがて引き離されて 取り残されて 忘れたのだね 置いていかれた夜中の迷子は かくのごとく さみしく つぶやいているのであります |
カムサッカ
2013年08月16日(金) 01時08分36秒 公開 ■この作品の著作権はカムサッカさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 カムサッカ 評価:--点 ■2013-08-17 09:12 ID:30GB.9HIXf. | |||||
お試しさんさんへ そうですね、今回は中也が頭にありました。 中也は、現代からみるとそこまで凄まじく素晴らしい詩人ではないような気がしますが、自分は好きです。 まあ、不勉強で、有名な数編しか読んでないので、お前が語るなって感じですが。 また、近代詩は有名作品が多いため比較的多く読んでいるというくらいですので、おすすめの作品作者等ありましたら、教えていただけるとありがたいです。 「かくのごとく」は、朗読時にここでためを作ってほしくて入れました。こうした方が、終わりっぽくなる気がしたので。 「こうしてさみしく」の方がスマートであるとは思いますが。 「いるのであります」はむしろ語尾を丸くするための工夫でしたが、そうとられてしまうんですね。研究します。 なかみに関しても、猛省します。 童話的雰囲気を目指したら、素直になってしまいました。 自分も、ただ普通な詩は読みたくないし、作りたくないので、もう少し、ひねくれます。 ただ「いましがた〜」は、現在の自分の渾身の文であるのですが、降って湧いたタイプのやつですので、あれを超える自信はでないのですが…… |
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No.3 カムサッカ 評価:--点 ■2013-08-17 08:54 ID:30GB.9HIXf. | |||||
SHIRIAIさんへ お褒めいただきありがとうございます。 朴訥とした感じを出したかったので、気持ちよく読んでくれたならうれしいです。 |
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No.2 お試しさん 評価:40点 ■2013-08-16 14:49 ID:xndBFdVqLMk | |||||
まずはじめにどこかで読んだことのある言葉遣いだなと感じました。 「いるのであります」この部分にですね。 あと「かくのごとく」に近代詩の香りを感じました。 調べてみると、中也の『在りし日の歌』あたりでみられる言葉遣いかなと。「。」を使うあたりとかも。 そこら辺の作者を勉強しているのでしょうか。だとしたら正解だと思いますね。この時代に素晴らしい詩人がたくさんいますからね。個人的な意見ですけど。 「かくのごとく」は「こうして」にして、 「こうしてさみしく」一行に纏めた方がいいかもしれません。全体的なバランスもあるでしょうけど。 「いるのであります」も、うーん、何か別のルートないですかね。ちょっと重くて、説得されているような気になる。 なかみの感想としては、天才的な前回作品よりは落ちた感じですかね。 >森の向こうでごうとなくのは >かぜであろうか、それともやはり ここいいですね。潤沢な「予感」があります。 前回にあって今回にないもの、それは屈折感です。 対象への迫り方ですね。こちらの作品は素直なんですね。 素直に対象を描きだす作品はごまんとあります。いくら言葉を尽くしても、迫り方が素直だと私は(個人的に)感動できません。 >いましがた消えた雉の居場所を、すぐあなたに教えてあげる >藪の奥に目を凝らすあなたに 『山辺の道にて』からの引用ですが、 この世に無数にある詩の殆どが、いうなれば作中の「あなた」の視点から詩が語られる。 いくら目を凝らし対象をみつめ表現を尽くしても、引用の二行の視点のセンスを持った作者にははなから敵わない。私はそう感じそう信じているのですけどね。どうでしょうかね。 |
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No.1 SHIRIAI 評価:50点 ■2013-08-16 03:14 ID:mnj3PHJyRQI | |||||
静かで、広がりがあって、 文も言い回しが心地よい。 読ませてくれてありがとう。 |
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総レス数 4 合計 90点 |
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