山辺の道にて |
山女の実を一つもいで、隣に立つあなたにあげる 眩暈の先で揺らぐあなたに 輪郭の消えた右手の形が たしかに ぽん、と 山女をのせる はりつめた耳鳴りの向こうで、あなたが何かつぶやいている いましがた消えた雉の居場所を、すぐあなたに教えてあげる 藪の奥に目を凝らすあなたに 鉄塔のように伸ばされた背中が ゆるやかに ぐわりと たわんでいく はばかるように、くぐもった声であなたは言う 「たしかに、なるほど」 独り言のようなその声の、その隣に 誰か、 私がいるということを あなたは知るまい 藪の奥にいる目よ その声よ |
カムサッカ
2013年08月09日(金) 21時34分31秒 公開 ■この作品の著作権はカムサッカさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.5 カムサッカ 評価:--点 ■2013-08-14 00:43 ID:30GB.9HIXf. | |||||
お試しさんさんへ(この呼び方でいいのかな?) お褒めいただきありがとうございます。 僕は、詩を書く動機というのが、いい詩を読んだ後に思う「こういうの書きたいな」って感じにある人なので、型枠というのがあるのだとすれば、模倣なのだと思います。 とりあえず、少しづつ、いいものを書いていければと思います。 感想ありがとうございました。 |
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No.4 お試しさん 評価:50点 ■2013-08-13 15:02 ID:xndBFdVqLMk | |||||
芸術の秘密の型枠を知っている作者さんですよね。 >いましがた消えた雉の居場所を、すぐあなたに教えてあげる >藪の奥に目を凝らすあなたに ここ、いいですね〜 この「型枠」をどうやって獲得したんでしょうか。 模倣ですか? 自分で生み出したのならば、天性の資質ですよ。 荒削りなところは何年もかけてブラッシュアップして欲しいですね。 時間経たないと見えないものもありますから。 詩的インスピレーションは逆に時間経ちすぎると無くなっちゃいますけど。 もうひとつの勝負は、このレベル以上の作品を量産できるかですね。 いやーこの個を飛び出しているレベルのはウェブ上では本当に稀にしか出会えませんよ。大切になさってください。 |
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No.3 カムサッカ 評価:--点 ■2013-08-10 00:40 ID:30GB.9HIXf. | |||||
(改変前のやつです) 山女の実を一つもいで、隣に立つあなたにあげる 眩暈の目に揺らぐあなたに 輪郭の消えた両手の形が たしかに ぽん、と 山女をのせる はりつめた耳鳴りの向こうで、あなたが何かつぶやいている いましがた消えた雉の居場所を、すぐあなたに教えてあげる 藪の奥に目を凝らすあなたに 鉄塔のように伸ばされた背中が ゆるやかに ぐにゃりと たわんでいく はばかるように、くぐもった声であなたは言う 「たしかに、なるほど」 独り言のようなその声の、その隣に 誰か、私がいるということを あなたは知るまい 藪の奥にいる目よ 君よ |
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No.2 カムサッカ 評価:--点 ■2013-08-09 23:22 ID:30GB.9HIXf. | |||||
SHIRIAIさん、コメントありがとうございます。 アドバイスはすべて納得したうえで、言い訳を述べます。 「>誰か、私がいるということを >あなたは知るまい これは、ナイトシャマランの「シックスセンス」的。でいいんだけれども、 も少しぼかしてもいいんじゃないかなと第一印象では思いました」 これについては、私の存在を明確にしておかないと、まとまりに欠けるように思ったのでこうしました。私という存在がいないと「神視点の二人称」というとらえ方もできるものなので。 「>藪の奥にいる目よ >君よ は、正直私には通じません。 「あなた」と「君」は別人? もし、同一ならば、ラストは、短歌のように、定型的な書き方にすると締ま っていいのにな、と私は思いました。」 とりあえず「あなた」と「君」は同一人物です。 最近読んだ詩がこのような形で終わってて、まねしようとしたのですが「あなたよ」だと、おかしい気がしたので、このように書いてしまいました。 定型的でないのは、空気を締めない工夫だと思っています。ぼんやりしたまま終わらせたかったというか。 以上です。お言葉を返してしまい申し訳ありません。 読んでいただき、ありがとうございます。 |
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No.1 SHIRIAI 評価:40点 ■2013-08-09 23:11 ID:C997dWT1qRE | |||||
こんばんは。 とっても詩的で素敵です。一番いいのは、 >〜あなたに(〜)あげる >〜あなたに の形になっている2箇所の「ぶれた」表現と >輪郭の消えた両手の形が の視覚的に「ぼけた」描写と合っていて、かなりいい。誰もがやる、いつもの倒置とは一味違うと思う。 >誰か、私がいるということを >あなたは知るまい これは、ナイトシャマランの「シックスセンス」的。でいいんだけれども、も少しぼかしてもいいんじゃないかなと第一印象では思いました。 >藪の奥にいる目よ >君よ は、正直私には通じません。 「あなた」と「君」は別人? もし、同一ならば、ラストは、短歌のように、定型的な書き方にすると締まっていいのにな、と私は思いました。 さて、「ぶれた」表現が逆に鼻につくのは、 >眩暈の目に揺らぐ ダブらせ過ぎかなと思う。 >輪郭の消えた両手の形 細かいかもしれませんが、ここは、 >>輪郭の消えた両手 だけでいいんじゃないかなと思いました。 こういう静かで落ち着いた、それでいて、詩世界の空間の拡がりを感じる詩がここでは少ないので、これからも楽しませて下さい。 ついでによければ、私の短歌の批評もお願いします。 ありがとうございました。 |
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