四季を詠む


 
−春−

待ちわびた花の咲く期の安らぎに
   住み処にこもり背を向ける君

伏す父の真白のとこの笑みをして
   さむざむと過ぐ春の夕暮れ

宵やみに隠して沸きぬ白波は
   天上の月のおぼろにて消ゆ



−梅雨〜夏−

しとしとと 降れる小雨を よけたるも
   のきをつたいて はなつらに落つ

透きとおるあなたの汗の滴るは
   コオリとけゆく檸檬のいろに

匂ふ風に漂ひあらむ彼の君の
   降りそそがるる熱き眼差し

風鈴の帯のはらます風にみる
   祖母の笑みの やはらかなりけり  



−秋−

うたかたの夢にかよひて覚えども
   長ながし夜に乾びむとかや

ひさかたの君が容にうつりぬる
   ひかり弛ませ叢雲の月



−冬−

降りかかる時のしわざの白雪に
   萎みし平の手に覆ふかな

   
SHIRIAI
2013年08月09日(金) 01時30分20秒 公開
■この作品の著作権はSHIRIAIさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
短歌を季節ごとにまとめてみました。
↓老婆心の註釈。

−読み−
滴る=したたる
彼の=かの
乾びむ=からびむ
容=かたち
叢雲=むらくも
萎みし=しぼみし

−意味−
うたかた=あぶく、泡
覚え=寵愛を受ける意もあり
容=顔
叢雲=(月に)群がる雲

この作品の感想をお寄せください。
No.2  SHIRIAI  評価:0点  ■2013-08-10 03:18  ID:5ZzWE3oSpa2
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なんと、カムサッカさん、こんばんは。

ひとつひとつに感想を頂きましてありがとうございます。読み違えなどは仕方のないことで、ところが、放たれた鏑矢は幾つかの首をはねてくれました。参考にさせて頂きます。
詩を書かれる方として、リズムやことば自体の捉え方にはカムサッカさんならではのものがある訳で、その感性を裏付けに、分からないと言えども、刺すだけ刺しとく!的な「刺摘」はありがたい。
あと、短歌は、表の顔と奥に隠れた顔があることが多いので、コミカルに歯を出してしゃべくる姿の陰で恥ずかしそうに哀しい想いを寄せている姿もあったりするので(単純な物もありますが)、そんなところも読んで頂けたらと思います。
大変参考になりました。
ありがとうございました。

[追記]
たとえば、
*匂ふ風に漂ひあらむ彼の君の
   降りそそがるる熱き眼差し
は、死者の念と夏の強い日差しを掛けて詠んでいます。

No.1  カムサッカ  評価:50点  ■2013-08-10 00:00  ID:30GB.9HIXf.
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先ほどは、拙作にコメントいただきありがとうございます。
短歌は嗜まないので、細かい批評は控えますが、通読して感じたことを一言ずつ。

「待ちわびた花の咲く期の安らぎに住み処にこもり背を向ける君」
「住み処にこもり背を向ける」が心情を表す動作として典型的過ぎると思います。

「伏す父の真白のとこの笑みをしてさむざむと過ぐ春の夕暮れ」
これを春の歌にする意味が分かりませんでした。秋の方がふさわしい歌のように思います。
「春」にこのような歌を詠む逆説(?)みたいな感じが欲しいなら、春のイメージを鮮明に表現するべきかと。(違ったらすいません)

「宵やみに隠して沸きぬ白波は天上の月のおぼろにて消ゆ」
これは、よくわかりませんでした。和歌をあまり見ないからだと思うのですが……
あと、個人的な意見ですがここでの「にて」は違和感を感じました。用法が違う気がするのです(歌の意味がよくわかってないので、断言はできないのですが)

「しとしとと 降れる小雨を よけたるも のきをつたいて はなつらに落つ」
しとしとは定型的過ぎると思います。あと「はなつらに」は逆に使わな過ぎて違和感でした。
でも、こういうのはユーモラスで好きです。

「透きとおるあなたの汗の滴るはコオリとけゆく檸檬のいろに」
氷が「コオリ」であることに意味を見出せませんでした。というか、これも情景が思い浮かべづらかったです。

「匂ふ風に漂ひあらむ彼の君の降りそそがるる熱き眼差し」
少女漫画によく出てくる、みんなの人気者系男子が誰かに恋をする図でしょうか。それを古風な言葉で表現して、ギャップを出すみたいな狙いという風に読みました。
これも好きな歌です。

「風鈴の帯のはらます風にみる祖母の笑みの やはらかなりけり」
これは好きです。特に文句がないです。
「祖母の笑みの」が音読時にリズムを崩して気持ち悪い、ってことぐらいでしょうか。

「うたかたの夢にかよひて覚えども長ながし夜に乾びむとかや」
これも面白いですね。うまく、とほほ感が出ているような気がします。

「ひさかたの君が容にうつりぬるひかり弛ませ叢雲の月」
これは、いまいち好きになれませんでした。モチーフやら内容が、和歌に限らずいろいろな分野でありがちなものである気がしました。

「降りかかる時のしわざの白雪に萎みし平の手に覆ふかな」
「平の手」は「両の手」の方がいいのじゃないかなと、個人的に思ったり。
「萎みし」は素晴らしいと思います。

ほとんど文句しか言ってませんが、それは、僕が褒められない雑魚だからなのです。申し訳ありません。
これからも、作品を読ませていただけることを期待させていただきます。
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