Negro White man blues |
黒人教会で置き去りにされていたのは 碧眼にブロンドの白人嬰児だった 時は人種差別社会の1910年代 人々は衰弱してゆく赤子を見て見ぬ振り 赤子に罪は無いからと 一人の男が抱き上げて連れ帰った 周りから非難されようとも食い下がり 小さな命を育て上げた 捨て子は男の子だった 男は彼にブルースを教えた リンチで見せ物にされながら 殺された妻と子との思い出のブルース 少年は肌の色を活かし 父が行けない場所へ行き 綺麗な水や食べ物を買った 実直で優しいブルースマンに育った 成人してしばらくすると 老衰で父は死んだ 青年は家を売り払って 各地を転々と歌い廻った どうして白人のお前が 俺たちの歌を唄ってやがるんだ どうして白人のお前が 奴隷の歌を唄ってやがるんだ どこへ行こうと奇異な目で見られ 心は嬰児の頃へ逆戻り 父がくれた穴の空いたギター ウイスキー瓶のボトルネック 彼の居どころはそれだけだった 白い肌と黒い心が 共存出来る国へ向かおうにも ギターケースを担いで密入国は出来ない ブルックリンの裏酒場で 彼は“Coffee and Milk”という曲を唄った 矢継ぎ早に飛んでくる白人の野次 ハットの鍔に隠れて流す涙 一人の男が拳銃を取り出した 直後に轟音が鳴り響いた 弾はギターに空いた穴を通り抜け 彼の心臓を貫いた 求めていたのは 小さな優しさだったのに 父が与えてくれたような 温かな心だったのに 亡骸とギターとボトルネックは イースト川に流された 父の元へと還る為 ミシシッピ川と繋がる海を目指した |
TAKE
2013年07月04日(木) 01時37分16秒 公開 ■この作品の著作権はTAKEさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 笹百合 評価:20点 ■2013-07-07 17:31 ID:S6SCLCl937. | |||||
自分のために泣いてどうするのよ。 そこで流す涙は、野次を飛ばさざるを得ないほど渇いた心のために流すものでしょ。 一滴一滴が滲み込んで、ひび割れた大地に草花が芽吹くまで、ずっと。 それで干からびて死んでも、父のように笑って逝けるわ。 それを水に流すとか……。 |
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No.1 SHIRIAI 評価:30点 ■2013-07-05 15:00 ID:HchH4ncRDDY | |||||
こんにちは。 偶然ですが、あなたも時代物だったんですね。似た映画をちらっと観たことがあります。ただし、ストーリー展開がだいぶ違いますが。 さて、題材は、面白いものを選びましたね。映画のあらすじを聞いているようです。このあらすじを読んで、映画を観たいと思うかというと、残念ながら。前半はよくて、後半が何もない。ただし、 ★求めていたのは 小さな優しさだったのに 父が与えてくれたような 温かな心だったのに ここが一番大事なところですが、詩全体にそれが表されていない。つまり、父親との温かい心のふれあい、心地よさがちゃんと描かれていない。 ●この詩では、その幸せと、周りから受ける不幸せの対比が不可欠だと思う。 〇また、少し●と重複しますが、★の表現はそのまんまなのです。全く詩的ではない。★のことを思わせるようにストーリー展開をしなければならない。私なら比喩でこう表す。 ☆荒野に立つバラックの中を 父とはしゃぎまわった記憶が 破壊されたギターの穴からこぼれた >父が与えてくれたような/温かな心 では、幸せな時間を思いかえせない。 〇が、全体的な比喩(幸福と不幸)で ☆が、部分的な比喩(★)です。 工夫すれば絶対に面白い詩になります。 貴方は実力があるので比喩の試行をお勧めする。 ガンバって下さい。やる気があれば応援します。 |
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総レス数 2 合計 50点 |
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