世界という広い概念が
俺をつかんでいる

離せ


自由という幻につつまれて
惑うのだ
善良であるが程
良心をつかんでいる

壊せ


暗く沈んだ思いばかり
際限なく繰り返し
どんどん引っ張られている

ハナセ


殺してくれないか
切ないな
そんな願い
せめて凡夫とは違う
死に方をしたいのだ

殺せ


世界を変えようと
人生をかけたのだ
しかしそのすべては
いやすべてではない
そのほとんどが
踏みにじられて
破れてしまった


金や欲や
そういう俺の嫌いなものが持つ力に
目をそむけていると結局何もできないまま
野垂れ死に

奪え


弱者をしゃぶれ
そう教えてくれたじじいが
強者にしゃぶられて死ぬ

骨の髄も残らなかった
あいつは自分の教えの通り
弱者になって肉になった


今でこそ思う
この世は地獄だ
善良であれば長生きできない


そうさそうだろう


死んだところでおそらくは
永遠と同等の無が待っているだけで
地獄と何が違うのか


そうだろうそうだろう



俺がもし幸福を手に入れれば
その分不幸になるやつがいる
この世は
幸福の奪い合い
不幸の押し付け合い


あぁ
あああ
きみがわるい


そう思ってしまった
踏みにじられてしまった
俺の幸福論は
目に見えるやつだけの
幸福を見るから
結局ただの
エゴだった


叫べ

こんな世界なら
もう終わりにしたい
それがかなわないなら
世界中の不幸を
一つに集めて
まるめてくれれば
俺が食らってやるよ


死ぬことも怖くなくなった
生きることもつらくなくなった

ただひたすらに
何もできないことがつらいのだ


ひとかけらのこった
踏みにじられず
キレイに残った俺の
そのカケラの部分

そこがきれいに光っているような気がするんだ



普通には見えないほど
くすぶっているかもしれない
でもまだ間に合うので


気づけ



怖くない
つらくない


離せ
壊せ
ハナセ
殺せ
奪え
叫べ

そんで

気づけ

そうだそうだろう
そうだろうそうだろう





ないてもいいんだろ

わらっていてもさ

そういうことだ