Phantasmagoria |
の 外側に 行ってしまうのですか、 * 瞳は紅い。 いつも 公用語は行方不明だから えぐらない手つきで 水をかけあって、 あるときころっと 死んでみたりする。 法の遵守は ときとしてつめたく、 暮らしはじめた渡り鳥たちが、 海を渡らない、 渡られない海が、 つくられた薄氷を うすらひ、 と 呼びこんで、 呼ばれない海は 一晩中、 錯誤することもあった ときとして。 瞳ははじめから紅く それじゃあ どれだけ泣き腫らしたとしても 誰も気がつかないのだろうね せかいの、 (sekai no、) まなざしの裏は ひどく乾燥しているから 悟られることのない 寡黙な山火事が、 多発している。 ときとして。 * tsu、 尽くすたび 脆くなっていく患部が tsu、 積んでいる 積まれている 放逐、して いる のだった かたく握った手のなかに 隠された小鳥が 羽ばたきの準備をしている だが、しかし 握った手を開けば 小鳥などどこにも隠されていない 、 そうやっていつも 最後に気付かされてきたのだった 存在するはずのない飾り羽を ひたすら 隠し続けていたのだと tsu、 摘んでいる 摘まれている 黒点、たち 痛みの流通を 阻むことができない 早歩きする骨は 裏返されて、 引き剥がされた肉が わたしだとすれば ここには もう 心ない幽霊しかなくて、 * 雲ひとつない 澄んだ空のした 名の知れない花が 花々が、 ひとつ ふたつも いくつも 散らばって、 甲高い声で 鳴き続けています。 という 虚偽としての虚偽、 (出身地を 間違っても 訊ねてしまわないように そっと、) 乾ききった記号を 痛みだと誤認するのは いつも人で、 すなわちわたしだから、 このように わたしはわたしを 閉ざすことができないので 円の中心に たつのはいつも 水面の ささめく波の 破片たち、 を 行使しつづ けて、 溶血する、 水音が、 火の洪水みたく、 やわらかな肉を 呑んでゆくのだった。 ときとして。 * 奇数、 を 割っていた 涸渇する 古井戸の底で 奇数、 が 割れていた 純度の高い 手のひらのうえで いつしか、 誤り ばかり 群生している。 caution、 * 長い yume を 見ている 気が する アフリカ あたり の よくわからない 紛争が 大気中から 検出されたり じょうずな 赦しかたを 練習 したりする 行方のない 回廊を 歩いている 亡国の 亡国 を 産み 落とす yume の はじまりは 青白い 鬼火に 水を やり 育てる そんな 代物 だったのかもしれない 錯綜が 焚書を する 小指は 紛れもなく 痛覚の 訪れ だった と、 こうして 筆記している。 * タールが、 飛沫をあげて 空を黒の粘液で覆うだろう そうしたら 夜がきたぞ って 大声で叫びながら 銃器を棄て、 暗幕越しに 火気のない交信をしよう。 街は、 季節外れの クリスマスソングに 浸されているから 容れるように 受け容れられるように、 つめたい 摩擦係数を 忍ばせていく、 誰かを待ちわびる街。 人もまた街を待ち 泣き濡れて 、 重力に 隷従する 葡萄の一房、 ひとつきりの平衡が 氷漬けにされている 化学繊維によって 街に組み換えられた街 固有名詞が 焼死した街頭に、 流れおちる 恋することのないクリスマスソングが ひどくあたたかに 人の恋を歌いあげている。 ときとして。 (そんな夢を、 見ていました。 見ようとしていました。 今は、 こうして、 すりぬける抱擁を、 待っています、 ただひとつ、 あたたかな sekai no、 kase i no、 sekai no、 sekai no、 * の 外側に 行ってしまうのですか、 繭に ねむる小指が 螺旋を穿いて、 行いを おこなひ、 と 寿いでいる。 caution、 長い yume を見ている 気が する のだった そしてそれは、 みぎわに 小舟をうかべる人の 疾患でもあった。 caution、 空からはとうめいの 雨が 断絶が 酸性の稚魚が 注いでいます 濯いでいます 指弾するための 関節が、早歩きで 去ってしまう、 わたしは、 わたしたちは、 口を噤んだまま 腕の訪れを待ちながら、 ときとして。 語る言葉に 耳を傾けたり、 する夜もあった。 誤り ばかりが 繁茂する星雲のした、 わたしは、 わたしたちは、 素足のまま、 燃える水をかけあっている。 (caution、 警告する、 警告を、警告する、 架空のイヤフォンの対岸から 架空のイヤフォンの対岸へと) sekai no、 |
こやぎ
2012年10月24日(水) 15時11分30秒 公開 ■この作品の著作権はこやぎさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.1 うんた 評価:30点 ■2012-10-29 08:08 ID:iIHEYcW9En. | |||||
せかいの、 (sekai no、) まなざしの裏は ひどく乾燥しているから 悟られることのない 寡黙な山火事が、 多発している。 ときとして。 読ませていただきました。ここがとてもすきです。 |
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総レス数 1 合計 30点 |
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