海辺に過去は聳える |
空が燃えてしまった、放火されてしまった、 自らを燃やしてしまった、焼身自殺してしまった、 血を流している夕べ、赫々と染まる夕べ、瀕死の息をしている空! ヒトデの浜にうちあげられた無数の魚たち、 血色に染まったちいさな腹たちの廃墟 夥しく横たわる、まるい眼玉の皮膜で、潮はうっすらと乾きはじめている 硬い殻の内側で貝の喉を震わせ、死のうねり続く砂浜に 海鳴りが滲み入ってゆく こんなにも巨大な自らの死骸を抱きかかえて、この海も咆哮をあげる 多くの人たちが おぼつかない足どりでこの浜を歩いて去った あたり一面真っ赤な浜を、黒い影のように過ぎて行った 世界の義眼を研磨するようにして、あたなはこの砂浜で一体何を見ている? 祈りながら、今日もまたひとつかみの骨を探し続けているのか? やがて青磁色の月が出て、やわらかな白い砂浜が、 ゆりかごのようにして あなたの痛みも苦しみも受け止めてくれる時がやってくるだろうか? 過去は海いちめんに押し寄せている、 私には、分からない。 |
菜の花、たらの芽
2012年04月15日(日) 12時30分10秒 公開 ■この作品の著作権は菜の花、たらの芽さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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