帰郷
高い空。眩しいお日様。
じめっとした空気。夏草が生えた路。
あの日の約束をあなたが忘れたとしても、わたしが覚えてる。
それでいいでしょ?

蒸すような、秋の到来すら遥かに感じる、風。
ゆっくりと漂う匂い。
ふるさと。
ここがわたしのふるさと。

ああ、そっか。
わたし、ここが好きだったんだ。
それで、今でも、ここが好きなんだ。

朝、もう暑さを教えるセミと一緒に飲む、缶ビール。
こんな言葉を吐き出せるのも、酔っているからでしょう。
単なる勘違い。間違い。
でも、悪くない間違い。

ねぇ、わたし、変わっちゃった。
でもね、変わってないところだって残ってるのよ。
その部分がノックするの。
わたし、言いそびれたことがあるの。

「ただいま」

「おかえりなさい」

そう言ってくれる人は、もういないかもしれないけれど、もう一度。

「ただいま」


わたし、帰ってきちゃった。
心には、寂しさと嬉しさが混じった想い。
ずっと前に書こうとして、七行でつまって、くずかご行きのラブレター。
ただ、好きって言えばいいだけなのにね。
今、考えればね。

きっとあなたには、ふれてないでしょう。
だからこれを飛ばす先は、あなた以外の誰かさん。
それは一笑にふされる紙くずなのかもしれない。
でも、わたしにとっては、虹色に輝くマーブルのオリガミで作った、裏に溢れる思いを綴った、紙飛行機。

ほんの少しでも、届けばいいなぁ。
エンガワ
2012年04月12日(木) 20時01分41秒 公開
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■作者からのメッセージ
宜しくお願いします。
季節外れですが、青春ってことでご勘弁を。

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No.4  エンガワ  評価:--点  ■2012-04-17 20:08  ID:7fjvh1PpXNQ
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>楠山歳幸さん

わー、読んでくださり、ありがとうございます。

切ない、ですか。ありがとうございます。
子供と大人の中間辺りで、書いてみました。
缶ビールで酔うのは、ちょっと照れが入っちゃったかなぁ、余計な描写かなぁ、とも今になって思ったりしたので、嬉しいです。
いえいえ、素直なんて、滅茶苦茶、飛び上がりそうな気分です。いやー、よかった。
心の弱い自分は直ぐに屈折したりするので、これを支えにして、もうちょっと自分の中の素直な部分に「頑張れ」って応援したいです。
毎度、ありがとうございました。
No.3  楠山歳幸  評価:40点  ■2012-04-15 08:13  ID:3.rK8dssdKA
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 読ませていただきました。

 僕も白星様と同じく、切なさに胸を打たれました。帰郷って家に帰る、どちらかというと子供の頃を単純に連想するので、こんな思いもあるんだなあ、と感動しました。缶ビールの部分も良かったです。
 こんなこと書いたら失礼な気がしますが、素直な感じの文章にとても感情がこもっていて、とても良かったです。

 失礼しました。
No.2  エンガワ  評価:--点  ■2012-04-14 17:30  ID:7fjvh1PpXNQ
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>白星奏夜さん

こんにちは。
切ない、ですか。嬉しいお言葉です。もっとポジティブにやらんとイカンかなと思ってたので、共鳴してくれて、報われました。
最後の部分はもうちっと続く部分を、ばっさり切って纏めてみました。それを印象に残してくれて、幸せです。
分かりやすい感じと、詩的な感じをどう結びつけるか、とても試行錯誤しているので、ありがたいです。いやー、嬉しいです。ありがとうございます。
精進してみます。
No.1  白星奏夜  評価:40点  ■2012-04-13 12:48  ID:jbn/42uK6l6
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こんにちは、白星です。
切なさ、に胸をうたれる詩でした。
でも、わたしにとっては、虹色に輝くマーブルのオリガミで作った、裏に溢れる思いを綴った、紙飛行機。
ほんの少しでも、届けばいいなぁ。

この最後の部分がとても素敵だなぁと思いました。裏に溢れる思いを綴った、この言葉が好きです。見せられなかった、見せていないけれど確かにある綴られた切ない淡い想い。とても幻想的で、心にふれました。

拙い感想ですみません。また、読ませて下さい。失礼致します。
総レス数 4  合計 80

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