時間の流れ
 時間の流れ。
 時間の流れは等しい。皆それぞれに等しく与えられる。
 しかし、時間の使いようによっては、皆等しくなるわけではない。
 通勤ラッシュに間に合うか、駅へと走る男性。
 今日は休みだ。こたつに居座り眠る女性。
 学校に行くまでの時間。会社に行くまでの時間。次に起きるまでの時間。荷物が届くまでの時間。
 皆それぞれに均等にわけられた時間は、それぞれの場所で異なる流れを生み出してゆく。
 僕と彼との時間は同等のものではない。彼は忙しい身だ。時間の流れは早いだろう。
 僕と彼女との時間は同等のものではない。彼女は暇な身だ。時間の流れは遅いだろう。
 僕の周りの時間は皆と等しいそれのはずだけれど、どうにも流れが違っているようだ。
 それは遅いのか、早いのか。遠いのか、短いのか。
 幾度ため息をしただろう。どれほど時計を見つめただろう。それでも時間は相変わらずカチコチと進む。
 願えば良いのか、落胆すれば良いのか。望めば良いのか、諦めれば良いのか。
 時間に対して、僕は何を向ければいいのだろう。
 そろそろ電車が来る頃か。そろそろ荷物が届く頃か。
 一分はあと何秒残っているか、一時間はあとどれほどでなくなるか。
 均等に割り振られた時間は、しかし均等に、きっちりとした収束をもって紡がれる。
 彼は会社にたどり着き、彼女は眠りから目を覚まし、荷物は宛先人へと届き……。
 僕の時間はあとどれだけ残っているだろうか。
 そう思って時計を見れば、既に時間は過ぎていた。
 また始まった。そういう見方もあるだろう。
 無駄に過ごしていたって、有意義に過ごしていたって、時間はキッチリと収束する。
 さあ、僕の時間は始まったばかり。
 なにをして過ごそうか。なにを望んで過ごそうか。なにを待って過ごそうか。なにによって終わらせようか。
 
しぐれ
2012年02月05日(日) 21時11分36秒 公開
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No.3  紀菜  評価:30点  ■2012-03-29 10:43  ID:6S2dyk9SNhU
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楽しい時は過ぎるのが早くて
退屈な時は過ぎるのが遅いですよね
No.2  エンガワ  評価:30点  ■2012-02-07 19:21  ID:SED/FC6RMzg
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拝読しましたよー。

時間、大事ですね。
自分の場合、マイペースでやってるつもりでも、時間はガンガンと進んでいって、取り残されるってことがケッコーあります。
電車を乗り逃すこともしょっちゅうです。
そういう時、精力的に活動している人を見て、ああ、凄いなぁと思ったりします。
確かに万人に平等に流れているはずなのになぁ、(主に自分の怠慢のせいで)平等じゃないよなぁ。そんなことを思い出しました。

遠い距離で隔たれた、駅の彼とこたつの彼女と荷物の行方を同時に見通す「僕」。
視点が定まらずブレがあると言えばそれまでですが、「僕」の行動が明かされないのもあって何か凄く透明な感じがしました。
透明人間というか、観察者というか、神様というか、空気とでもいうか。
作者さんの本意ではないかもしれませんが、少し「僕」の危うさも感じました。

全体を見ると硬い、かな。肩に力が入っているの、かな。
個人的に、論文やテストの答えのような、説明っぽさが若干滲んできました。それが悪い、というのではなく。
本作の場合、言いたいことはストレートに伝わってきたので、硬さは実直さになっているっぽいので、これでいいんじゃないのか、と。
No.1  白星奏夜  評価:30点  ■2012-02-07 13:52  ID:3onKz9sLr9I
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はじめまして。時間って、考えると深いよなぁと思ってしまいました。同じ時間でも遅く感じる時、早く感じる時、楽しく感じる時、つまらなく感じる時、一刻もはやく過ぎて欲しい時があります。私たちの心次第で、変化する。万華鏡のようです。でもそれがおもしろいのかもしれませんね〜。
最後の なにをして過ごそうか。なにを望んで過ごそうか。なにを待って過ごそうか。なにによって終わらせようか。 がとても印象的でした。
拙い感想ですみませんでした、ではでは〜
総レス数 3  合計 90

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