冬空

蛇口をいっぱいに開くと
コップのような野球場に
冬のまっさおな空が
だんだんと満ちてくる
しぶきにつつまれて
白球はぐいぐいと
渦のなかを巻きあがり
風にそよいでいた芝が
水藻のように光る
わたしたちは
観客席にいて
汗を手に握りしめながら
じっとなにか
睨みつけていた
透明な応援歌が高く
かじかむ耳の奥へと
流れこんでゆくと
いつか見たことのある
真っ青な夕焼け空の雲間に
巨人のようなランナーが
滑るように走っていた






















--------------------------



達成


調子にのったり
えばったり
うちのめされたり

ダメな自分も
つらい日も
残さず食べきって
もりっと
うんこができるだろうか

毎日をきちんと
食べきることができるなら
それは
立派で元気なうんこ
たしかな達成だと思う

いつかそういう
うんこが
できるようになるには
どう生きていけば
いいんだろう

うんこは自然に
でてくるのに




うんこ太郎
2012年01月04日(水) 13時27分56秒 公開
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■作者からのメッセージ
あけましておめでとうございます。

この作品の感想をお寄せください。
No.10  うんこ太郎  評価:0点  ■2012-02-21 13:05  ID:z2TSoSZU2ng
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ザイチ様、ありがとうございます。
すべてを見渡せているなんてとんでもないです。
なにごとも手探りで、いつも頭をぶつけてばかりいるかんじです。
労働賛歌以来でしょうか。
お忙しいことと思いますが、ザイチ様の詩を楽しみにしております。
またどうぞよろしくお願いします。
No.9  ザイチ  評価:0点  ■2012-02-19 11:14  ID:pU9enW1mras
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かすむような冬空に、膨大な感覚がひしめき、パーン!とはじけ飛ぶような感覚でした。

毎日ちゃんとうんPができるって、本当に幸せなことだと思います。
目をそむけるようなことだけど、とても重要。

うんこ太郎さんのPNに、最初は「!?」的感情を覚えたのは確かですが、皆さ
んへの感想の丁寧さ、思慮深い言葉運びを拝見するたび、この方はあえてこう
いう名ですべてを見渡せているんだと思いました。

評価も付けられない小生が失礼しました<m(__)m>
No.8  うんこ太郎  評価:--点  ■2012-01-15 07:00  ID:iIHEYcW9En.
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久遠様、はじめまして。ご感想ありがとうございます。
澄んでいると感じていただけて、とても嬉しかったです。
冬の澄んだ空を、なんとか詩にしたいと思っていました。
ありがとうございました。
No.7  久遠  評価:40点  ■2012-01-09 02:52  ID:eTEJG577m7s
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はじめまして。
読ませていただきました。

最初の4行を読んだだけで、一気に世界に引き込まれました。
すごく動きがあって、でもどこか静的といいますか…遠くの、記憶の中の絵を見ているような、夢の様に、いい意味で、すこし霞んでいる感じのような。
比喩や全体的な表現が独特で、とても不思議な気持ちになりました。
澄んでいて、すてきな詩だと思いました。
No.6  うんこ太郎  評価:--点  ■2012-01-08 07:58  ID:iIHEYcW9En.
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Phys様、楠山様

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
ご感想ありがとうございます。

■Phys様

リンクから来てくださったのですね。
ありがとうございます。私も海鮮丼を食べたいです。緊張なさらずに
今後も気楽にご感想いただけるとありがたいです。

■楠山さん

年明け早々飛ばしていますね!今年も全開でいきましょう。
ぼくたちを結ぶ糸を赤い糸と呼んではいけません。
多分どどめ色とかそういう色だと思うんですよね……。
No.5  楠山歳幸  評価:50点  ■2012-01-06 00:35  ID:3.rK8dssdKA
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 あけましておめでとうございます。読ませていただきました。
 実は昨日読ませていただいていたのですが、不思議なことがあるんだなあ、シンクロだ、僕と赤い糸で結ばれているんだ、
 とか思っていたら……、
 僕の作品のほうが劣化している……。
 と、まあ仕方ないことは置いといて。

 野球場という広い場所というイメージをさらにマクロ(マグロ……いえ、なんでもありません)に広げる語彙と技術(?)、暗いイメージの冬と熱気の対比を中和させる文章、素晴らしいです。仲介に冬の青の水(みたいなもの)という所もいいですね。体に訴えるみたいです。重厚な冬雲を直接表現せず雲間の巨人と言うところにバイブレーションのようなラストを感じました。韻でしょうか?リズミカルな文章に俳句と違った趣きがさらに不思議な世界を引き立たせていると感じました。一番すごいと思ったのは
 >わたしたちは〜
  じっとなにか
  睨みつけていた
 の文章です。平たく言えば試合なのでしょうけど、「なにか」とするところで人々の様々な思いまで広がると感じます。なにか「を」としない所も韻からみでしょうか?かっこいいです。そしてこの文章、出てくるタイミング、ともすれば夢物語になりがちな題材へ地に足をつけた感覚になりました。小説風で言えば主人公の描写も(一発で)出ているって感じなかあ。

 とにかく素敵でした。
 いろいろと失礼しました。
No.4  Phys  評価:40点  ■2012-01-07 11:26  ID:5U40BEkQ72w
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拝読しました。

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

楠山さんの作品にリンクが貼ってあったのでこちらに来ました。感想を書くのは
初めてでしょうか? なんだか緊張してきました……。汗

私は比喩表現を捉える力が欠如しているので、書かれた文章をごく直截的に
捉えてしまう節があります。ですので、台所で蛇口をひねってから野球観戦に
行き、最後は駅伝を走りました。

今年も箱根は熱かったですね。ああいうチームスポーツははらはらします。
自分は炬燵でぬくぬくしているのに……! ごめんなさい。ちょっと暴走
しました。

なんだかいろいろとファジーな表現が並んでいますが、意味不明というよりは
明瞭さを避けた、という印象を持ちました。文章が整っているので、読後感も
爽やかでした。

>冬のまっさおな空が
>だんだんと満ちてくる
漢字で「真っ青」と書くとかなりホラーな感じになるのに、「まっさお」と
書くとすごく柔らかい言葉になるんだなぁ、というのが発見でした。

個人的に、「風にそよいでいた芝が 水藻のように光る」のところがとっても
好きです。風にそよぐ芝、清々しいです。

また、読ませてください。
No.3  うんこ太郎  評価:--点  ■2012-01-05 10:52  ID:iIHEYcW9En.
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橘カオル様、ゆうすけ様

明けましておめでとうございます。ご感想ありがとうございます。
とても嬉しいです。今後ともどうぞよろしくお願いします。
No.2  ゆうすけ  評価:30点  ■2012-01-05 09:12  ID:oTFI4ZinOLw
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不思議な世界ですね。引き込まれました。
万華鏡を覗いたような、魚眼レンズで世界を見たような、巨人になったような小人になったような、不思議な視点なのに、ぬけるような冬空と野球観戦の様子が目に浮かびました。
No.1  橘 カオル  評価:40点  ■2012-01-04 21:56  ID:2kKA4nCHTZc
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文句なしに、素敵だと思います。

真っ青な夏空が広がってくるのではなく、

冬のまっさおな空が
だんだんと満ちてくる

というわけで、
真冬に行われている試合のようですね。
手に汗を握っているのに、耳はかじかんでいる。

そこらへんの、意外性がおもろかったです。

総レス数 10  合計 200

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